影響力の正体を知る
ロバート・B・チャルディーニ(岩田 佳代子訳)「影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく」、SBクリエイティブ(2013)
お奨め度:★★★★1/2
ロバート・B・チャルディーニがセールスマンや広告主の世界に入り込み、人がどのような心理的メカニズムで動かされるのか解明した「影響力の武器」。世界的な大ベストセラーであるが、その後、世界各地の読者から寄せられたレポートを追加した、第2版、六つの原理を実社会で活用した50余りの事例をユーモアを交えて描き、人や組織から同意と承諾を得る方法を、社会の場面にあわせて個別具体的に解説した実践編、そして、理論を実証した本書に行きつく。
この本では、多くの影響力は恩義、整合性、社会的な証拠、好意、権威、希少性の6つのルールが支配しており、いずれのカテゴリーも基本的な心理学のルール にのっとっていて、そのルールが絶大な力で人を簡単に説得する。この6つのルールを1章に一つずつ取り上げ、人が“承諾”する心理を解き明かし、その活用法を解説している。
恩義(返報性)という概念は「お返し」をせねばならないという意識から承諾してしまう性質を指し、拒否したあとには譲歩するというドア・イン・ザ・フェイス・テクニックにも代表される。
整合性(一貫性)という概念は自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしようとする性質で、承諾の決定に対して一貫性への圧力が過度に影響することを明らかにする。
社会的な証拠(社会的証明)という概念は不確かさと類似性の二つの状況において最も強く働くもので、状況があいまいな時人は他の人々の行動に注意を向けそれを正しいものとして受け入れようとする性質と、人は自分と似た他者のリードに従う性質を持つということである。
好意では人は自身が好意を感じている知人に対してイエスという傾向があることを示し、身体的魅力がハロー効果を生じさせるため魅力的な人の方が影響力が強いことを述べる。
権威では権威からの要求に服従させるような強い圧力が社会に存在することを示している。
希少性では、人は機会を失いかけるとその機会をより価値あるものとみなすことを示し、希少性の原理が商品の価値の問題だけではなく、情報の評価のされ方にも適用できることを示している。
こ の本は影響力の武器と異なることが書かれているわけではないが、影響力の武器より読みやすい。ただ、6つのルールの訳語を微妙に変えているし、説明の表現 も変わっている。とりあえず、上に6つのルールだけは対応する言葉を書いておいたので、この本を読まれることがあれば、参考にしてほしい。
コメント