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2013年12月23日 (月)

マネジメントの本質を見抜く80対20の法則

4484131269リチャード・コッチ(高遠裕子訳)「並外れたマネジャーになる 80対20の法則」、阪急コミュニケーションズ(2013)

お奨め度:★★★★★+α

マネジャーの陥る落とし穴の一つにアクティブノンアクションと呼ばれる状態がある。日本語でいえば、不毛な忙しさ。

本書は、アクティブノンアクションを回避する方法として、ヴィルフレード・バレードが見つけリチャード・コッチが80対20の法則と名付けた法則のマネジャー版である。アクティブノンアクションの自覚のあるマネジャーは必読の一冊。今年一番のマネジャー向けの啓蒙書。


80対20の法則はごく少数の出来事が結果の大多数をもたらすと言う観察から生まれた経験則である。

結果の80パーセントは原因の20パーセントから生まれるというもの。産出の80パーセントは投入の20パーセントから生まれる。成果の80パーセントは努力の20パーセントから生まれるというもの。

マネジャーのさまざまな仕事に80対20の法則を適用することによって、

・時間が足りなくなることはない
・もっとも重要で急を要する問題にだけ取り組む
・ビジネスを効率のよい収益性の高いものにする
・優良顧客をこれまで以上に幸せにする
・自社の強みをうまく使う

といったことが可能になる。80対20の法則を実行できるマネジャーを80対20マネジャーと呼び、80対20マネジャーになるための方法を説明している。

80対20マネジャーになるには、以下の10個のマネジメントの属性に80対20の法則を適用すればよい。

・ものごとを徹底的に調べる
・人と人を結びつける
・レバレッジを働かせる
・自由にやらせる
・相談にのり、指導する
・意義を求める
・時間に余裕を持つ
・単純化する
・怠ける
・戦略的に行動する

すべてを身につける必要はない。どれかを極めれば、仕事やキャリアは変わるだろう。

この本では各属性ごとに、80対20の法則の適用事例を紹介し、ポイントを分かりやすくまとめている。おそらく、この本を読めば、80対20の法則を適用することは容易にできる。

マ ネジャーとしての立場が上になればなるほどコンセプチュアルスキルが必要だと言われる。その理由はマネジャーとしての課業がが恐ろしく増えることにある。 とてもではないが一人ではできない。そこで、本質を見つけ、本質に対して手を打っていくことが求められる。つまり、本質を見つけることはコンセプチュアル スキルのもっとも重要なカギになる。

ところが、現実には、本質が何かと考える余裕もなく、モグラたたきのごとく、次から次に片づけていかないと仕事が回らない(と思ってしまう)。

そこで80対20の法則である。。80対20の法則によって、多くの結果を生み出す少数のできごと、つまり本質を見つける。そして、そこに手を打つ。

こ の本は上の10個の活動がマネジャーとして重要であると言う前提の上で、その本質がどこにあるかを示してくれる。その本質の指摘は非常に適切であり、日本のマネジャーに求められている指摘が多い。

マネジャーの仕事のポイントを書いた本はたくさんあるが、この本は、「80対20」というコンセプトのもとにそれを示している。その意味で、具体的であると同時に、示唆に富み、応用もしやすい。

出来るマネジャーに成りたいと思っている人はぜひ、読んで欲しい。優れたマネジャーの行動、思考特性が分かるだろう。

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