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2013年4月 1日 (月)

組織の力を引き出すコラボレーションとは(プレゼントあり)

4822262766 ロン・リッチ、カール・ウィージ(シスコシステムズ合同会社 執行役員会監修、翻訳) 「コラボレーション革命~あなたの組織の力を引き出す10のステップ」、日経BP社(2013)

お奨め度:★★★★★

通信機器ベンダーのシスコシステムズのバイスプレジデント2人がこれからのコラボレーションのあるべき姿について、自社の取り組みを紹介しながら述べた一冊。ただし、シスコシステムズの商品の紹介は一切入っておらず、企業経営者自らが非常にオーソドックスで、かつ先進的なベストプラクティスを紹介した本になっており、リーダーは一読の価値がある。

本書による時代認識は、競争相手がどこにでもいるので、成功するためには強みに注力し、他はビジネスパートナーの力を活用することが不可欠である。一方 で、インターネットが普及しているというものだ。このような環境で生き延びていくには機敏に動き、オープンで適応力が高い組織を作らなくてはならない。そ のためには、多様な人材を活用し、場合によってはパートナーやサプライヤだけではなく、顧客や競争相手までを含むビジネスのエコシステムを作らなくてはな らない。著者はここにコラボレーションが不可欠になると考えている。

コラボレーションを実現し、組織のコラボレーション能力を進化させるにはコラボレーションを構成する要素であるカルチャー、プロセス、テクノロジーを醸成し、調和させる必要がある。本書はこの枠組みで、

(1)カルチャー
・ゴールを共有するカルチャーを醸成する
・組織を「信頼できる伝達者」の集まりにする
(2)プロセス
・チームの方向性を一致させビジョンに邁進させる
・「チームチャーター」を書く
・目的を明確にして会議の質を向上させる
(3)テクノロジー
・適切なテクノロジーポートフォリオで戦略を支える
・変革する業務を特定する
・3種類のROIを理解する

というポイントについて具体的に解説している。

まず、カルチャーの醸成においては、コラボレーションを推進するリーダーの継続的な取り組みを重視しており、そのための行動として

・真のリーダーシップを発揮し、他人を攻撃しない
・透明性の高い意思決定を常に心がける
・さまざまな資源を行動を起こすためのツールとみなす
・決定権と責任、報賞との関係を明確にする

といったことを挙げている。また、コラボレーションの成功の鍵である信頼構築においては、自分のコミュニケーション「スタイル」を発見し、「自然体」なコミュニケーションで、お互いに理解しあい、信頼のできる関係を構築していくことを推奨している。

スタイルの発見のために、「物事の考え方」、「情報整理の仕方」、「意見表明の姿勢」、「話し方」の4つの軸に分けて、

・リーダー(チームを牽引する)
・スターター(新しいことを始める)
・プランナー(計画を立案する)
・インフルエンサー(影響を与える)

の4つのタイプにわけて、相手のタイプを見極めて、コミュニケーションすればよいとしている。4つのタイプについて事例が示されているが、これはなかなか、興味深い。

二 番目の要素はプロセスであり、ここではチームプロセスを中心に考えられている。まず、最初はビジョンで、「共通言語」を確立し、共通言語によりゴールを示 すことによって、コラボレーションを実践するカルチャーを機能させ、チームの適応性を俊敏性を向上させることができる。

シスコでは共通言語として、「VSEM」を確立し、大きな効果を上げている。Vision(ビジョン)、Strategy(戦略)、Execution(実行)、Metrics(測定基準)で、

・チームが共有するビジョン
・ビジョンを達成する戦略
・戦略を推進する実行計画
・成果を評価する基準

を共通化することによって、プロジェクトは意思決定の手順をしっかりと理解し、そのプロセスに従って業務を遂行できるようになる。

遂行においては「VSEM」を展開した「チームチャーター」を作る。シスコでは、チームチャーターに

・チームの目的
・チームの役割
・ゴール
・範囲

について書くようになっている。

さらにチームによるコラボレーションに重要なのが会議であり、シスコでは「目的優先の会議運営モデル」という会議の質を高めるモデルに行きついた。このモデルは

ステップ1:目的を定める
戦略的意思決定、重要な議論、ブレインストーミング、軌道修正など9種類
ステップ2:会議のフォーマットを選ぶ
討論型、参画型、伝達型
ステップ3:期待を明確に伝える
ステップ4:会議に対する責任を負う

の4ステップからなり、本書では各ステップについて具体的な進め方が説明されている。

三番目はテクノロジーで、ポートフォリオを組み、適切に選ぶ。また、導入の効果がある領域を適切に選ぶ。その上で、複数視点のROIを評価することの重要性について述べている。

導入の効果の可能性については

・チームパフォーマンスの最適化
・モバイルワークの実現
・組織のコミュニケーションと連携の向上
・新市場への参入
・顧客満足度の向上
・環境に配慮した事業運営
・企業間コラボレーションの拡大
・産業構造の変革

の8つを取り上げている。また、ROIとしては

・オペレーションROI
・生産性ROI
・戦略的ROI

の3つのレベルで評価することを推奨している。

コラボレーションというと、ブランド間の協業を意味することが多いが、この本を読んでみると、イメージが変わってくる。冒頭に紹介したように、適応力を高めるためのコミュニケーションの方法であり、いま、急務となっているイノベーションの基盤になるものである。

この本で紹介されていることはほぼシスコの事例と、ソリューションのコンセプトであるが、随所にほ~という点があるものの、全体的には特別なことではない。しかし、本書で指摘されているようにそれがなかなかできない。

で きない理由がこの本には明確に書かれている。カルチャー、プロセス、テクノロジーの3つの要素が調和されていないからだ。この本を読むと、調和させること はそんなに難しいことではないように思えるかもしれないが、ちょっと大規模な組織においては、この3つの要素は主管する部門が異なるのが普通だ。

そこで、組織横断的なコラボレーションの推進チームを作ることが不可欠という話になるのだが、この点がもっとも困難を伴うだろう。ここがクリアできれば、あとはこの本に書かれていることを参考にしながら、取り組んでいけるだろう。

◆読者プレゼント

ということで、この本を3名の方にプレゼントします。希望される方は、以下のページからご応募ください。

第77回書籍プレゼント「コラボレーション革命」

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