環境に適応するマネジメント
デイビッド・コード マレイ(花塚 恵訳)「PlanB―不確実な世界で生きのびるための11の法則」、東洋経済新報社(2012)
お奨め度:★★★★1/2
不確実性の高い環境で、戦略実行する際の効果的な方法を示した一冊。戦略実行に関わるすべての人に参考になる内容である。
不確実性の高い環境で戦略を実行するには、最初に決定した戦略ゴールでは不十分で、戦略策定と戦術実行を融合して作られる戦略ゴールがポイントになる。簡単にいえば、戦略を策定し、何らかの形で実行してみて、その結果を再び、戦略計画に反映することが不可欠である。
このような計画を初期の戦略計画プランAに対して、プランBという。現在成功しているビジネスの多くは、優れたプランBを策定しているが、同時に、プランAからプランBを生み出していくマネジメントが優れたプランBを生み出すポイントになっている。
本書では、このマネジメントを適応マネジメントとよび、適応マネジメントを可能にする11の法則について述べている。
・課題を特定する
・戦術リストをつくる
・勝負の場所を選ぶ
・戦略と戦術の連携を図る
・ゴールを設定する
・プランAを立てる
・複数の未来を予測する
・成功を促進し失敗を切り捨てる
・指標で成否を判断する
・プランBに進化させる
・進化を促す文化をつくる
適応マネジメントと計画管理の本質的な違いは、計画に対するスタンス(前提)である。適応マネジメントは計画が変わることを前提したマネジメントである。適応マネジメントに変革するには、考え方も行動も従来と変える必要がある。11の法則は、それをどのように実現すればよいかを示すものである。
日本独自の戦略マネジメントのやり方であるミドルアップダウンを有効に機能させるためには、このような考え方がよい。
また、この考え方(問題)は、戦略マネジメントに限らず、プロジェクトなど、計画が重視されてきた多くの分野に適用することができる。その意味で、計画型から、適応型への移行に手を焼いている分野に関わっている人すべてにお勧めしたい本である。
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