ついに出た!プレゼンテーション Zen【ほぼ日読書日記 2009年9月1日】
青山から丸の内に移動のときに、20分ほど時間が空いたので、オアゾの丸善で時間をつぶす。そこで、発見。
ガー・レイノルズ「プレゼンテーション Zen」、ピアソンエデュケーション(2009)
プレゼンテーションの本としては、最高ではないかと思っている。日本人の書いたプレゼンの本を見ていると、論理が表に出すぎる。あるいは、論理がないものが目立つ。
論理は必要で、かつ、論理は背後にある。そして、右脳思考が論理のインパクトを高める。そんな結果をもたらすプレゼンテーションアプローチを書いた本。
インスピレーションは、新幹線の弁当から得たそう。仕事柄、外人と一緒に新幹線で弁当を食べる機会は何度となくあるが、アングロサクソン系の人は必ず、デザインのすばらしさに言及する印象がある。会議に松花堂を出してもそんな反応はしない。幕の内がよいのだろう。
原書をさんざん読んでいたので、すぐに紹介記事を書いた。
プレゼンテーションへの禅的アプローチ
https://mat.lekumo.biz/books/2009/09/post-0a1b.html
そのときに、もう一冊、本を買っておいて、寝る前に読む。本自体は、政治の本であって、ビジネス書ではない。ただ、帯にいいことが書いてあるので紹介する。
起死回生を託された麻生首相は、なぜ、「決断」できなかったのか?
自民党「失敗の本質」を徹底検証
とある。読売新聞政治部が今までの記事を編集したドキュメンタリーだ。
読売新聞政治部「自民崩壊の300日」、新潮社(2009)
失敗の本質といえば、野中先生たちが、1984年に書かれた「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」だが、今回の自民党の失敗は、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦といった戦いに匹敵するくらい、組織にとって示唆に富むものではないかと思う。
この本に描かれている麻生首相は、今の多くのマネジャーとかぶってしまう。
・情報は集めるが、決断をせず、ああでもない、こうでもないと考えているうちに、状況が変わってしまって、情報が役立たなくなる
・失敗をしたくない、リスクをとりたくないので、決断が渋る
・だからといって、ステークホルダに協力を乞って、リスクをとれる体制を作る努力をするわけではない。あくまでも、自分ができる範囲でしかしない
話は変わるが、ドラゴン桜の作者・三田紀房さんが書いたビジネスコミック「マネーの拳」が完結した。ボクサーの世界チャンピオン花岡拳が、ユニクロをモデルとしたようなTシャツ専業のアパレルビジネスT-BOXを起こして、成功し、上場するというストーリーのコミック。この最後に、ボブソンをモデルにしていると思われる岡山のジーンズメーカーを買収するという話がでてきて、その中で、主人公がメーカの社長に「自分の感情で商売している、自分の願望を最優先する経営をしている」という指摘をする場面がある。会社が発展する、従業員が幸福になるといったことよりは、自分が満足すること、もっとはっきり言えば、自分のプライドが満たされること、自分が傷つかないことの方がはるかに重要なのだ。
麻生首相は、今までの日本の経営者のステレオタイプだと思うし、経営者だけではなく、従業員も本質的に変わらない。その典型が職人であり、職人気質をよいものだとする文化が日本にはある。武士は食わねど高楊枝とかいう。
そんなトップリーダーの姿を見事にあぶり出したドキュメンタリーである。これは研修に使えるわ。
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