劇場型のリーダーシップ【ほぼ日読書日記 2009年8月20日】
京都に戻る。久しぶりに真っ昼間に移動。雪を冠さない富士山はなんとなく座りが悪い。人間の感覚ってこんなものだろうと思う。
新幹線が結構混んでいたが、旅行客かと思いきや、名古屋でごっそりと降りていった。名古屋は景気は戻ったのだろうか。
車中2冊本を読む。1冊目。演出家であり、劇作家でもある平田オリザさんと蓮行さんの書かれた演劇ワークショップの本。
平田オリザ、蓮行「コミュニケーション力を引き出す」、PHP研究所(2009)
演劇ワークショップの流れをコミュニケーション能力の開発に使おうという提案だが、平田オリザさんの演劇とビジネスのアナロジーの議論は参考になる。今までの本よりも、少し、踏み込んだ感じの本。
劇場型のビジネスといったところか。
もう一冊。
大木豊成「ソフトバンク流「超」速断の仕事術―1か月かかる仕事を1週間でやり遂げる!」、ダイヤモンド社(2009)
久しぶりに読む価値のあるプロジェクトマネジメント本に当たったような気がする。
ソフトバンクグループに勤務し、Yahoo!BBの立ち上げに関わった大木豊成氏が、孫正義社長の要求にどのように答えてきたかをいろいろなエピソードを引きながら紹介し、大木さんなりの教訓にまとめている。
本を読むと、たぶん、大木氏は優秀なビジネスマンであり、優秀なプロジェクトマネジャーであることはよく分かる。この本で主張している戦略的な仕事の仕方をしようというのも100%共感する。
しかし、もっと印象に残ったのは、彼の能力を引き出した孫正義社長のスポンサーシップ(大木さんはファシリテーティブなリーダーシップと呼んでいる)である。孫社長のやっていることを、普通にやれば、下はつぶれると思う。つぶさないためには、信頼関係の構築がもっとも重要である。これが実にうまく出来ている。
ソフトバンク流というのは、結局、そういうことだろう。
一つだけ、かなり重要な見解の相違がある。この本で、大木氏はサーバントリーダーシップの時代は終わったような記述をされているが、この本に書かれている孫社長のリーダーシップはサーバントリーダーシップそのものである。行動が派手な人だからそう見えないが、こういうサーバントリーダーシップの形もあるのだと思う。
まさに、劇場型のサーバントリーダーシップだね。
コメント