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2009年3月11日 (水)

説教本

4534044259 説教本

久米 信行「考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術」、日本実業出版社(2008)

お奨め度:★★★★1/2

新入社員や入社2~3年目の社員を想定して書かれたような自己啓発書であるが、意外と深い。というか、取り上げられている31項目が自信を持ってできているという中堅社員はあまりいないような内容。

取り上げられている事項はいわゆる「たわいもないこと」が多い。でも、意外とやりにくいことのオンパレード。とりあえず、目次はこんな感じ。

Part1 相手の懐にすぐ飛び込む!

Q1 自分から率先して声をかけられない
Q2 いきなり電話をかけられない
Q3 最初のメールをどう書けばよいかわからない
Q4 出会いが「おつき合い」につながらない
Q5 忙しそうな先輩・上司に質問できない
Q6 上司や同僚とケンカできない
Q7 飛び込み営業ができない
Q8 断られると、食い下がることができない
Q9 相手が大物だと、つい遠慮してしまう

Part2 周りを気にせずすぐやる!

Q10 真っ先に手を挙げられない
Q11 最前列に座れない
Q12 パーティ・懇親会などで浮いてしまう
Q13 「知識のなさ」がバレるのが怖い
Q14 人に聞かないと決断できない
Q15 空気を読みすぎて行動できない
Q16 周りにお願いや働きかけができない
Q17 周囲の眼が気になり行動できない

Part3 失敗を怖がらずにすぐやる!

Q18 一度失敗すると諦めてしまう
Q19 一気に加速できない。ブレーキをかける
Q20 タイミングを狙いすぎて動けない
Q21 めんどうくさいことはしたくない
Q22 大勢に反対されると自信をなくす
Q23 まずインターネットで調べないと行動できない
Q24 過去の失敗を引きずってしまう

Part4 「自分」に負けずにすぐやる!

Q25 プレッシャーに負けてしまう
Q26 段取り通りに実行できない
Q27 ゴールが見えないと途中で止まってしまう
Q28 経済的な理由で行動できない
Q29 ここ一番でアイデアが出てこない
Q30 安定している現状を壊したくない
Q31 自分の言葉で意見を言えない

この本を眺めていると、行動的であるというのは些細なことの積み重ねだなと思う。ドイツの建築家の言葉に「神は細部に宿る」という言葉があるが、人間の行動でもこれはいえる。

例えば、「Q11 最前列に座れない」という項目がある。もし、これが克服できれば、人生が変わると思う。この項目に対する著者のアドバイスは

(1)一番前の席に座って講師の目を見つめつつ傾聴すること
(2)一番に手を挙げて質問をすること
(3)一番に講師に駆け寄り名刺交換をすること

の3つだ。この3つなら「決意」と「実行力」があれば誰にでもできることだとしている。
こういうテーマをずらっと並べている。この本をハウツーものとして読むと、類書が山ほどある本になってしまうかもしれない。これだけ広範囲に視点設定をした本は少ないかもしれないし、著者の久米さんならではのアイディアもあるが、3~4冊、集めてくれば間違いなく、80%くらいはカバーされてしまうだろう。

しかし、細部から行動を変えていくための説教本としてみれば類書がない。その意味で編集に工夫のある一冊だと思う。

この本の使い方は、上に述べたように、キャリアの浅いビジネスマンが自己啓発として読むのはもちろんだが、上司が部下に読ませる本としても大変よい。具体的で、細かいからだ。

最近、「おとな」は手抜きになり、こういう細かいことをきちんと注意してくれる人が少なくなった。もちろん、「おとな」には、自分のことに精一杯で、部下の細かなことにまで目配りしている時間がないという「大人の事情」がある。

若い人たちもあまり、抽象的なことは聞く耳を持つが、実は、こういう具体的なこと、特に、細かな具体的なことを言われると「ウザイ」と思う。

しかし、説教というのはそういうものだ。具体的な行動をとって、それをグチャグチャいうのが説教というもので、具体的だから効果があるのだ。英語ではフィードバックという。

ならば、こういう細かなことを説教してくれる本を勧めるというのはよい手だと思う。

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