【ほぼ日 読書日記】2009年3月12日
最近の世の中を見ていて、危機意識を持つのが如何に難しいかがよくわかる。危機を言っているのは経営層だけで、それも実際に実感を持って言っているかというと怪しい。
特に、今回は相当に深刻な状況だと思うのだが、昨年の秋頃から、「未曾有」とか、「100年に1度」といった言葉に慣れてしまって、あきらめにも似た奇妙な安心感があるのは不思議だ。
その奇妙な安心感を生み出している最大の元凶はこれだろう。東京から京都への移動中に読む。
井上 久男、伊藤 博敏「トヨタ・ショック」、講談社(2009)
よく取材してあり、分析も納得性が高い。この1年のトヨタの事業計画を見ていると何が起こっているのだろうと、訳がわからなくなるが、この本1冊読めば、だいたい、わかる。結論からいえば、戦略の失敗で、それがサブプライムで顕在化してしまっただけだ。
そんなに多くの実例を知っているわけではないが、つたない経験からいえば、戦略の失敗というのはそれが短期的に顕著に出てくることはない。機会損失にとどまることも多いし、短期的には大きな問題にならず、長期的な問題にとどまることも少なくない。環境が変わって神風なんてこともあるわけだ。
それが、どの企業も片っ端から、あぶり出されたのは、やっぱり未曾有かもしれない。そんなことを考えながら目を通す。
新横浜を過ぎて読み始め、名古屋に着く前に読み終えてしまった。他に手持ちの本がなかったので、電車で座れないとき用にカバンに入れている本を取り出す。
水野 俊哉「知っているようで知らない 法則のトリセツ」、徳間書店(2009)
結構、気に入っていて、ちびちび読んでいたのだが、京都に着くまでに残っていたページを読み終えてしまった。まとめて読むのはつらい。途中で飽きた。もう少し、全体の流れがあると読みやすいが、この方が売れるんだろうな。
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