【ほぼ日 読書日記】2009年2月1日
今日から2月。2月のスタートはマイクロソフトものから。
マイクロソフトの分析はクスマノ先生の「マイクロソフトシークレット」をはじめとして、いくつもの良書がある。その中で強調されるのは、技術(標準)戦略や技術、プロジェクトマネジメントである。たとえば、最近、出版された本でよくできているなと思ったのが、これ。
トム佐藤「マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方」、新潮社(2009)
標準を巡る技術競争、戦略を非常にうまくまとめられており、興味深く読み進めていける。いままでありそうでなかった本だが、まあ、マイクロソフトの一般的なイメージを表している本だともいえる。
しかし、このようなイメージを一新する本が登場。
アンナ・ローリー(斉藤裕一訳)「リーダー・セラピー マイクロソフトの強さの秘密」、阪急コミュニケーションズ(2009)
リーダーシップ開発で世界中で、その取り組みがもっとも著名な企業はGEだと思うが、マイクロソフトにもGE顔負けの実態がある。
人材育成の担当の人はもちろんだが、IT系の企業のマネジャーは読んでみるといいだろう。事業をする、そして事業を育てるということがどういうことかよくわかるだろう。
ある意味で、技術だけで勝ち続けることができるのなら、こんなに楽なことはない。しかし、少なくとも21世紀になってからのマイクロソフトは技術的にはそんなに評価されていない。っていうか、ある意味でマイクロソフトのこれまでの歴史は技術的な評価で構成されてきたものではないような気がする。常にアップルと比較され、後塵を拝してきた歴史だ。
そこをカバーするのはマネジメントだというのが定説だ。特に、プロジェクトマネジメントを含む、プロダクトマネジメントだという認識が高い。たとえば、ビジネス書の杜の2006年のAwardに選んだこの本などは完全にそういうトーンで書かれている。
スコット・バークン(村上 雅章訳)「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法」、オライリー・ジャパン(2006)
アンナ・ローリーの本を読むと、マネジメントとしてマイクロソフトがやってきたことは何だったのかがよくわかる。大きくイメージが変わる。
そして、この2冊を読み合わせると、プロジェクトマネジメントの成熟のために組織がすべきことは何かを思い知らされる。この点については、また、記事に書く。
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