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2009年1月18日 (日)

マネジメントにテコの原理を導入する

4492043276_2 本田 直之「レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略」、東洋経済新報社(2009)

お奨め度:★★★★1/2

帯に「経営者版レバレッジ・シンキング」とあるとおり、レバレッジ・シンキングをマネジメントの中で行うとこうなるというのを書いた本。レバレッジシンキングで展開された考えることによって、労力、時間、知識、人脈にレバレッジをかけて好循環を生み出すという発想が原点になった一冊。

本書では「考えないから時間の余裕がない」という指摘を元に、考える時間をとり、考え、レバレッジをかけろと主張している。これは、レバレッジシンキングの考え方だ。

この本では、経営(者)にレバレッジをかけるポイントを、
・経営者(20ポイント)
・戦略(15ポイント)
・営業(7ポイント)
・ブランド(10ポイント)
・仕組み(6ポイント)
・組織(10ポイント)
に分けて、それぞれ、質問形式で解決するというスタイルで解説している。
経営者に対するレバレッジがそのあとの戦略、営業、ブランド、仕組み、組織に対するレバレッジを聞かせるマネジメントのベースになるが、その中でも「内部要因思考を持っているか?」が中心になり、内部要因思考をするために常に自分に対して
・今の状況をかんがみて、いったい何をどう変えればできるようになるのか
・100%は難しくても、できる範囲で改善できる点はないのか
・今は無理でも何伝先ならできるのか?
の3つを問いかけながら、経営をしていくことを勧めている。
この本を読み出したときに、レバレッジということでTipsを並べていくことにどれだけの意味があるのだろうという疑問を持った。経営者のレバレッジについては一般的に経営者のレバレッジ思考ということで大変によくかけているように思う。

戦略以降については、やはり、前提にしているマネジメントのスタイルがありそうだ。僕は経営書を読むときは、理解するという意味で自分のやり方との比較をしながら読み進めていく習慣があるが、あまり違和感がなかった。しかし、僕自身が経営コンサルティングをしているの中では、自分のやり方が合わない企業も多くあり、その場合にはポイントも変わってくることが多い。

その意味で、マネジメントのレバレッジとして書かれていることは必ずしも、どんな企業にも当てはまるレバレッジのポイントではないように思える。しいて言えば、企業規模で中小~中堅下位の企業で、ダイナミックな環境で、リスクの高い事業をしている企業がもっとも合う考え方ではないかと思う。まあ、もっとも経営の難しいカテゴリーの企業であるのでそれだけでも十分な価値はある。この水平・垂直展開でいえば、プロジェクトのマネジメントをするときに大いに参考になる考え方ではないかと感じた。

そういう印象は持ったが、この本は1章だけでも、経営者のレバレッジシンキングの本として十分な価値があるし、ポイント数を見てももっとも力を入れて書かれているようである。

本田さんと同じくベストセラーを連発されている齋藤孝先生の書籍に「退屈力」という書籍がある。

齋藤孝「退屈力」、文藝春秋社(2008)

本田さんのレバレッジシンキングと肝になっている「学べ、成長しないとレバレッジも聞かない」という急がば回れ的な考え方と、齋藤先生の「タメ」という考え方には共通点があって大変、面白いなと思っていた。

この本を読んでこれを改めて感じた。この本に書いてあること、つまり、マネジメントにレバレッジを効かせるというのを一言でいえば、「タメのある経営をする」ということになる。

【目次】
第1章 経営者のレバレッジ
第2章 戦略のレバレッジ
第3章 営業のレバレッジ
第4章 ブランドのレバレッジ
第5章 仕組み化のレバレッジ
第6章 組織のレバレッジ

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