感情をコントロールし、本番に強くなる
田中ウルヴェ京「コーピングの教科書」、インデックス・コミュニケーションズ(2008)
お薦め度:★★★★
コーピング(COPING)とは、自分の感情を上手にコントロールすることを目的とする米国発の認知行動療法で、最近、たいへん、注目されている。注目されるようになったのは、著者の活用による部分が大きいが、その著者が分かりやすくポイントをまとめた本。
コーピングの語源は、「負けずに戦う」「難局に対処する」を意味する「COPE」である。何と戦うかというとストレスである。ただし、ストレスには人の成長を促す良いストレスと、対処を必要とする悪いストレスがあり、コーピングが戦うのは悪いストレス。つまり、悪いストレスに対処するのが、コーピングである。
コーピングが注目するのは、ストレス反応を引き起こす心の動きで、
刺激:人前で話をする
↓
評価:失敗したらどうしようと思う
↓
ストレス反応:ドキドキする
という反応である。ストレス反応には感情的反応(不安)と身体反応(手が震える)の2種類がある。コーピングでは、それぞれに対して問題解決をしていく。
たとえば、刺激に対するコーピングであれば、
・相手に上手に働きかける
・論理的に考える
・あきらめる
・能動的に気づく
の4つの方法があると解説されている。
評価に対するコーピングでは、悲観的になったり、否定的になったりする、自分のネガティブな思い込みのクセを認識し、対策を練り(セルフトーク)、本番を迎えるようにすればよいと解説している。セルフトークとは、独り言のことで、たとえば、こちらの本を読んでみると、より詳しいことが分かるだろう。
鈴木 義幸「セルフトーク・マネジメントのすすめ」、日本実業出版社(2008)
反応に対するコーピングとしては、感情に対しては、セルフトークを良いものに変えていくこと、身体反応については、自分の呼吸法をしり、呼吸を整えることを推奨している。
簡潔にポイントだせ説明されているので、実践しようとすると若干物足りない部分があるが、コーピングの入門本としては最適である。
【目次】
CHAPTER 1 コーピングとは?
CHAPTER 2 刺激に対するコーピング
CHAPTER 3 評価に対するコーピング
CHAPTER 4 感情に対するコーピング
CHAPTER 5 身体に対するコーピング
Last lesson さらに本番に強いあなたを作るコーピングレッスン
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