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2008年9月23日 (火)

ウソと鋏は使いよう

4795837635向谷匡史「ビジネスを動かす「ウソの技法」 」、情報センター出版局(2008)

お薦め度:★★★★1/2

ヤクザの行動をビジネスに活かすというテーマで、さまざまな本を書いている向谷匡史氏の新作。コンプライアンスの強化が望まれている時代にぎょっとするようなタイトルの本である。ただし、内容は帯にもあるとおり、A級のコミュニケーション術を学べる一冊。

リーダーやマネジャーと部下の動機付けの話をしていると、これは一生できないなと思うようなことがある。「理」で動機付けをすることしか考えていない。理で動機付けができるなら、マネジメントなどいらない。

たとえば、この本にこんな話が出てくる。

他人にぬきんでようと思うなら、1時間早く出社したまえ。週5日で5時間、1ヶ月で20時間、1年で240時間、実に1ヶ月分に相当する。いい仕事ができるはずだ。

といって過剰な業務量を押し付ける。困難な仕事を押し付けておいて

誰もが千里の道をいけるとは限らない。しかし、目前の一歩なくして千里の道に到達することは絶対にないのだ

といって、奮い立たせる。

動機付けをするというのは、本質的にこういう技術だ。もっと面白い例がある。

「初任給は二十万円。給料は毎年アップして、十年勤続で5割増しの30万になるぞ」

というのと、

「給料は毎月800円ずつ上がる」

というのでは、明らかに動機付けの効果が異なる。後者は単純なロジックである。前者や上の例では、数字でロジックを組み立てているのだが、それ以上のよいイメージを与えている。これがウソといっている部分である。

動機付けというのはその最たるもので、この例のように現実を見せられて動機が生まれる人は少ない。現実よりよい期待ができるから心が動くのだ。

たとえば、プロジェクトマネジメントをすれば無駄がなくなり、プロジェクトを納期どおりに終わらせることができるというのもこれに近い。重要なことは、動機付けされることで、ウソが本当になることだ。最初の例でその気になって、毎日一時間早くきて、よい仕事ができればハッピーエンドなのだ。

この本では、

・心を獲るウソ
・上司・クライアントを動かすウソ
・部下を意のままに動かすウソ
・誉めるウソ・叱るウソ
・苦境に威力を発揮するウソ

の5つに分けて、著者取って置きのテクニックを紹介してくれている。

ちなみに、このブログはなんとか本を読ませようとするブログなので、この種のウソは満載である(笑)。でも、ウソに乗って、本気で読んでもらえればそのとおりになるので、これからもよろしく!

【目次】
第1章 騙すことなく心を獲るウソ
第2章 上司・クライアントを動かすウソ
第3章 部下を意のままに動かすウソ
第4章 誉めるウソ・叱るウソ
第5章 苦境に威力を発揮するウソ

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