バカな社長は何を考えているのか
山田咲道「バカ社長論」、日経プレミアム(2008)
日本経済新聞社の親書というと良書がずらっと並ぶ「日経文庫」であるが、セカンドラインの新書が登場した。日経プレミアシリーズ 。コンセプトはよく分からないが、日経文庫では専門的すぎる人を狙ったような感じか?
第1号を見てぶっ飛んだ。
小泉純一郎「音楽遍歴」
である。結構、売れているようだ。小泉という人は特別かもしれないが、エスタブリッシュされた人の趣味というのは結構、深いと思うので、日経人脈でこういう企画をどんどん、やってほしい。
さて、この本はこのブログでは守備範囲外であるが、最初の配本に2冊ほど、面白いタイトルが入っていた。一冊は、また、取り上げることもあるかもしれないが、著名マーケティングコンサルタント小阪裕司さんの「ビジネス脳を鍛える」。もう一冊がこの記事で取り上げた、会計士の山田咲道さんの「バカ社長論」。
非常にわかりやすく、会社の中で新入社員でも遭遇するような身近な例で、会計、組織マネジメント、マーケティング、戦略について解説した経営の入門本である。
書き方が工夫されており、バカ社長はこうするということで、陥りがちな落とし穴を紹介したのちに、どうすれば優秀な社長になれるかという形で、マネジメント論を解説しているので、にやにやしながら一挙に読める本である。
たぶん、会社の中の仕組みがある程度分かっていれば、新入社員でも読める本だと思うが、考えながら読むとこれが意外と深い。扱っているポイント、切り口の問題だろう。結構、盲点でかつ、普遍性があるような内容が多い。
たとえば、できる人のところに仕事が集まるのはバカ社長だと言っているが、よく考えてみると基本はそのとおりだが、よく考えるとそうとはいえないというのは実際のマネジャークラスであれば、すぐに思いつくだろう。
そんなことを考えながら読んでみると入門書でありながら、意外と、マネジャーにも役立つかもしれない。
【目次】
プロローグ
第一章 「時は金なり」がわからない社長
バカ社長が会社を壊す/会社がもうかる単純な仕組み/会社を家計簿の理屈で考える人
安いコピー機がなぜいけないか/電気代を節約したら赤字になった/高い家賃も「あり」な理由
リストラで落ち込む会社の法則/本当のスピード経営/お客さんが喜べばコストも下がる
管理部門がスピード経営の成否を決める/仕事は一回で終わらせる
第二章 社員が働く会社、サボる会社
バカ社長判別テスト―優秀な人を暇にしているか
スキルの低い人だって仕事はできる/できる社員を集めようとする愚
仕事の基本理論は「稼ぎ=能力×時間」/自分の能力を語る能力なし
社員の器が仕事に合わない/セミナー研修は社員の子守歌/単なる給料が高い人のお仕事とは
上司よ、特権階級のつもりか/自分の仕事ばかりを優先するダメ上司/「明日までに完成…」の大罪
残業するから会社がダメになる/「困ったちゃん」と働きやすい職場の論理/成長と退職者のエトセトラ
社長が暇だと社員は働かない/「尊敬しろ」と言われても…/できる社長は感謝を言葉で表す
第三章 ヒット商品の恐怖
ヒットに慢心するバカ社長/「伸るか反るか」の投資はしない/無謀な開発をしたソフト会社
商品が完成した、売るカネはない/画期的な商品が市場を小さくする/天才は凡人に勝てるわけがない
基本に帰るという基本/「革新より改良」で打率を上げる/商品開発は売り方とセット
第四章 お金をもうける算数・初級編
成功する社長はおおらかだけど細かい/なんでもかんでも原価計算/粗利率で考えよう!
坪効率は机上の空論/一杯のコーヒーから「もうけ」を考える/適正価格を決める思考法
もうけの源泉は見積もり力/すべては納期の読みから/仕事を断られてもいいじゃないか
相手のフトコロ具合を読んでから考える/「払え、バカヤロー」の覚悟/黒字体質にしたら次は財産づくり
交際費は正しく使いましょう
第五章 もうける社長は、こう考える
会社の宿命は成長/「社員が働かない」とグチるバカ社長/お客さんの文句をニーズに変える
クレームをすべて聞くのがお客様第一主義?/良いクレームと悪いクレーム/もうかる会社は明るい
もうける社長は暗い/いつでもどこでもリスクだらけ/宝物は危ない橋の先にある
社長の浪費は搾取である/勉強する人、しない人/会社って、なんのためにあるのか
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