プロジェクト成功の第4の軸(こっちが第一か?)
プロデューサーズ制作チーム、佐野 一機、インパクト・コミュニケーションズ編「プロデューサーズ―成功したプロジェクトのキーマンたち」、誠文堂新光社(2008)
お薦め度:★★★★1/2
プロジェクトがうまくいくには何が必要か?当然ながら、これだという答えはない。体系的なアプローチと、継続的な地味な努力、これに尽きる。
その上でという議論をするなら、意見は分かれるのではないかと思う。一般には3つあるといわれている。
・プロジェクトリーダー(プロジェクトマネジャー)
・プロジェクトスポンサー
・プロジェクトマネジメントオフィス
ここの第4の軸として、プロデューサーという存在があることに気付かせてくれる一冊。
成功を収めたプロジェクトのキーマン(プロデューサー)とインタビュー形式で、そのプロジェクトのベストプラクティスを抽出しようとしている本。
読んでみて、すごいなあ~と思うのは、やはり、「現場力」。プロジェクトマネジメントでも、現場の感覚がいかに大切かがよく分かる。たとえば、一番目のエビスの立川さんの話。
エビス<ザ・ホップ>を出すのに一番反対したのは実は社内なんです。我々が一番心配したのは、エビスビールが好きで、エビスを信奉してくださるコアなお客様が離反することでした。
これは、マーケティングの教科書にあるような話。ところが、
エビスを選んでいる人は、「自信をもって、エビスを選んでいる自分がかっこいいと思うから」という気持ちがあるのではないかと想像するわけです。
と考えたという。これは現場ならではの感覚だと思う。この手の話が山ほどある。企画というのは本質的にこういうものかもしれない。
僕はマネジメントが現場から乖離してくるのは、宿命的なものだと思っているが、こういう本を読んで、現場への思いをリマインドすることはとても大切ではないかとも思う。
プロジェクトとプロデューサーは以下の通り。
・ヱビスビールヱビス“ザ・ホップ 立山正之
・映画「鉄コン筋クリート」 田中栄子
・ソフトウェア開発digitalstage 平野友康
・感動食品専門スーパーオイシックス・高島宏平
・Xbox 360「ブルードラゴン」プロモーションBIG SHADOW 内山光司
・絵本シリーズ「くまのがっこう」 相原博之
・クリエイティブスタジオSAMURAI 佐藤悦子
・都市再生プロジェクトR‐Investment&Design 武藤弥
・りそな銀行コラボレーションプロジェクトREENAL 藤原明
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