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2008年1月 7日 (月)

本物のプロフェッショナルとは

4901491687 松本 整「勝負に強い人がやっていること―ここぞという時に結果を出す考え方・行動の仕方」、ナナ・コーポレート・コミュニケーション(2007)

お薦め度:★★★★1/2

著者の松本整氏は競輪の世界で最年長のG1タイトル取得の記録を持つ競輪の名選手でありながら、現役時代から自分のトレーニングジムを開設し、独自のメソッドによるアスリートのトレーニングを行っているという変わったキャリアの持ち主。その松本氏が、自身のメソッドをまとめた本。

いくつもはっとするところが多い。

この本では最初にプロフェッショナルの定義から始まる。プロフェッショナルの定義はビジネスの世界ではいくつもあるし、わかったような概念になっているが、松本氏の定義はいたってシンプル。プロとは

 「常に勝ち続けることのできる人」

だという。この定義は「が~ん」という感じだ。人材育成の仕事をしていながら、なんとなくプロフェッショナルの定義はよくわからないという思いを持ち続けてきたが、これで納得。この定義は単純なようで、極めて深い。

おそらく、僕が知っているすべてのプロフェッショナルの条件はこれで片付く。

プロフェッショナルの条件でおそらくもっとも多くの人が納得しているのはドラッカー博士の定義だと思う。

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

での定義は

「成果をあげる」という絶対目標を持ち、自らの行動に「責任」を持つ人材

である。この本の定義はイメージしにくい。何がイメージしにくいかというと、ドラッカー博士のいうところの「成長」というキーワードだ。成長するというのはどういうことか?

たぶん、ここに松本氏のいう「続ける」というキーワードがくっついていることに気付かされた。

松本氏のメッセージは、スキルだけでいえばアマチュアの方が強い場合もある。プロフェッショナルとはその職業としてトップランナーとして継続的に食っていける人だという明確なメッセージ。特に、成果を上げることができるようになってからの継続が難しい。

一つの仕事で成果を上げることもそんなに簡単なことではない。しかし、継続するのはその何十倍も難しい。だから、(特に日本人は)長くやっていることを評価する。

ビジネスでいえば、マーケティングのプロフェッショナルといえばどんな状況で売れる商品を企画できる人。プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルというとどんなプロジェクトでもそのプロジェクトに収益をもたらすことができる人のことだ。この状況では、売れなくても仕方ないとか、プロジェクトが成功しなくても仕方ないといっている間はアマチュアっていうことだ。

この本は、このプロフェッショナルにどのようになっていくかを「一般論」として論じている。たとえば話に自身の競輪の経験を使っているケースが多いが、スポーツ一般に通じる話だと思うし、僕の読む限りではビジネスにも通じる話だ。

前半は比較的ロジカルにかかれており、後半は読者に発破をかけるような記述が多い。これも意図したものだと思われる。本物のプロフェッショナルを目指す人、元気になりたい人にお勧めしたい一冊。

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目次

●第1章 勝ち続けられる人がプロである
速い、強いだけではプロとはいえない
勝ち続けるための条件
僕の勝負哲学
自分の哲学の見つけ方
プロには才能は関係ない
努力は服を着て歩くようなもの
真剣さのレベルは?
勝負で生活をするということ

●第2章 勝負師の条件
スタイルはあくまで手段である
成長にはステージがある
スタイルをステージによって使い分ける
信頼されなければ勝てない
リスクを背負う覚悟が必要
勝ち続ける者は、変わり続ける者

●第3章 勝ち続ける方法
正しい努力しか実を結ばない
目標を立てる
分析し、仮説を立てる
実践し検証する
本質に徹することは、非情に徹すること
負けているときの過ごし方
負けているときは淡々と過ごす
チャンスを手に入れるには
運をつかみ取れるかが最後の関門

●第4章 極限の瞬間を観察する
吹いてこそ風
極限の自分を観察する
孤独に耐えられるか?
限界を超えてからが勝負
モチベーションを上げ続けるには
自分を律する方法

●第5章 ぬるま湯からの脱出
誇りがない人は信頼されない
積極的にリスクを取る
「~たら」「~れば」とは縁を切れ
守るべき価値があるのか?
ゼロからのスタートを怖がるな
野生動物のように生きられるか
自分より上の人に触れる

●第6章 自分の限界を決めるな
年齢は言い訳である
年齢に応じた力の上げ方
不利な条件を覆す
納得するまでやり続けろ
自分を信じ続けるには
諦めないことの大切さ

●第7章 人生は有限である
いつまでも生きられると思うな
人生の画用紙をすべて塗りつぶせ
見えない砂時計
挑戦する人生と逃げる人生
繰り返し、繰り返しリベンジする

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