トヨタの闇
渡邉 正裕、林 克明「トヨタの闇」、ビジネス社(2007)
お薦め度:★★★1/2
このブログで取り上げた本は500冊を超えるが、企業もので圧倒的に多いのはトヨタである(というよりも、出版点数が多いので、ある意味、当たり前だが)。
トヨタの分析はベストプラクティスとして行われることが多い。理由は2つあり、90年代は主に、日本流のエクセレントな現場であったが、2000年以降、業績の飛躍的な向上により、経営的なベストプラクティスとして取り上げられることが多くなった。
ただ、光があれば、影がある。影の部分に焦点を当てた本はあまりなかったが、珍しくそんな本が出てきた。いわゆる暴露本、スキャンダル本の類ではない。著者たちが、自社Webで展開している「企業ミシュラン」の作成の際の取材に基づきかかれた本のようである。ちなみに、著者の一人の渡辺さんは以前から企業ミシュランの活動をされており、書籍になっているものもある。
渡邉 正裕「企業ミシュラン〈06年版〉IT・サービス業編―これが働きたい会社だ」、幻冬舎(2005)
タイトルや帯は過激というか、スキャンダル本の匂いがぷんぷんだが、内容を読んでみると、確かにトヨタのやり方だとそれはあるなと思える内容が多いし、また、取材インタビューなどがそのまま掲載されているので、信憑性もある。
ということで、トヨタ信者であれば、一度、読んでみてほしい本である。
ただし、この本の作られているスタンスには賛同できない。上に書いたように光があれば、影がある。問題は影をいかに少なくしようと努力しているかだ。実は、この本の中に書かれている1項目をトヨタに勤める友人から聞いたことがあり、会社はずいぶん、努力をしているようだ。
目次
はじめにートヨタは本当に優良企業なのか
第1章 トヨタの本質はなぜ報じられないかー広告料日本一の圧力
第2章 トヨタの社員は幸せか-職場環境の実態
第3章 トヨタ車の性能は高いのかー実は欠陥車率99.9%
第4章 下請け社員を苦しめていないかー「自動車絶望工場」のトヨタ下請け
第5章 世界での評価ー広がる反トヨタキャンペーン
おわりに
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