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2007年7月

2007年7月 6日 (金)

技術マネジメントをケース演習で学ぼう

4532313376 原田勉「ケース演習でわかる技術マネジメント」、日本経済新聞社(2007)

お奨め度:★★★★

技術マネジメントの課題から「実務的」な視点から最小限の話題をピックアップし、理論を説明するだけではなく、ケース例題で実践的な議論をし、かつ、演習で頭を使いながら読み進めていける一冊。

特に、特徴的なのは、プロジェクトマネジメントに全体の四分の一を割いている点。技術開発型の新製品開発のプロジェクトマネジメントを詳しく解説している。

各章で取り上げているケースは

・技術マネジメント全体像

  トクヤマ:ハイリスク下での意思決定

・製品・技術開発戦略

  テキサル・インスツルメンツ

・プロジェクトマネジメント

  コマツ

・製品技術戦略

  ソニー

である。いずれも適切なコメントをし、また、各視点からの評価ポイントについて述べてあるので、演習の中でも使えるし、また、実務の中でも使える。

さらに、知的好奇心で読んでも面白い一冊である。

2007年7月 3日 (火)

企業を発掘し、育てる

4582833578 原丈人「21世紀の国富論」、平凡社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

原丈人さんは日本ではあまり知られていないが、米国ではたいへん注目されている実業家で、ボーランド、SCO、ピクチャーテル、ウォロンゴング、トレイデックスなどの企業の経営と育成を手がけて来られた方だ。ボーランド時代にはビルゲイツのライバルといわれ、またネットの時代になると、早くからドットコム企業のビジネスモデルは成功しないと断言し、ドットコム企業には一切投資をしなかったキャピタリストとしても有名である。

最近では、ポストコンピュータの産業育成の視点から日本や韓国の企業でも事業育成に携わられている。

その原丈人さんが日本の産業を念頭において書かれたポストコンピュータ産業育成論。4章までは、グローバルな視点からの産業論が展開されており、最後の5章で日本への提言がある。

原丈人さんの育成論の基本は企業への愛情に溢れている。いわゆるベンチャーキャピタルとは一線を画している。むしろ、ベンチャーキャピタルやストックオプションのあり方に対して、批判的で、ベンチャーキャピタルは、長期のリスクをとっても、企業を時間をかけて丁寧に育てるべきだという点で一貫している。日本の企業の現在的な育成にはぴったりの育成論ではないかと思う。

詳しい話はこの本を読んでみてほしいのだが、ぼくは比較的早くから原丈人さんというビジネスマンに関心を持っていた。きっかけは、大学院の金井壽宏先生のゼミで、11人のミドルにインタビューをして活動を紹介する「創造するミドル」という本の輪読があった。この本の中で、原丈人さんは「ベンチャーを創造する―会社と会社をつなげてきたひと」というセッションで紹介されている。

金井壽宏、沼上幹、米倉誠一郎編「創造するミドル―生き方とキャリアを考えつづけるために」、有斐閣(1994)

原丈人さんはビジネスマンになる前は考古学の研究者だったそうで、考古学の発掘とベンチャーの発見・育成は同じだという考えに感銘を受けた。この本は、まさにこういう視点で書かれた産業育成、事業育成論が展開されている。

分析する視点は鋭く、独自性があり、丁寧に育てるという原丈人さんのスタンスに興味をもたれる方はぜひ読んでみてほしい。

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2007年7月 2日 (月)

経営を見る眼

4492501746 伊丹敬之「経営を見る眼 日々の仕事の意味を知るための経営入門」、東洋経済新報社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

経営というのは多面性があり、説明するのは非常に難しい。それを

・人はなぜ働くか
・仕事の場で何が起きているか
・雇用関係を断つとき
・企業は何をしている存在か
・株主はなぜカネを出すのか
・利益とは何か
・企業は誰のものか
・人を動かす
・リーダーの条件
・リーダーの仕事上司をマネジする-逆向きのリーダーシップ
・経営をマクロに考える
・戦略とは何か
・競争優位の戦略
・ビジネスシステムの戦略
・企業戦略と資源・能力
・組織構造
・管理システム
・場のマネジメント
・キーワードで考える
・経営の論理と方程式で考える

の21の視点から見事にきっている。

まさに、伊丹先生の知見のすべてを書ききった素晴らしい本である。会社に所属している人はぜひ一度読んでおきた本だ。

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