プロフェッショナルの人材開発のベールをめくる
小池和男編「プロフェッショナルの人材開発」、ナカニシヤ出版(2006)
お奨め度:★★★★
新聞記者、研究者、革新的マネジャー、ファンドマネジャー、融資審査マンなどのプロフェッショナルがその技能をどのように開発されていくかをフィールド調査によって明確にした一冊。
小池先生の指導によるフィールドワークだけあって、どの論考もかなり深く突っ込んであり、かつ、簡潔にまとめられている。技能開発に携わる人にとってはもちろんだが、いわゆるプロフェッショナル人材を育成しなくてはならない人にはとても参考になる本である。
また、読み物としても面白いので、人材開発を仕事にする人だけではなく、プロフェッショナル自身が読んでも、自らの能力開発について気づきのある一冊である。
難点は、ここで選ばれている職業がプロフェッショナルという集団から見たときに、どの程度、一般性があるのかがよく分からない点。例えば、研究者と医者はその技能開発が異なるように思うし、販売員のようなサービス系の技能を持つプロフェッショナルも異なるように思う。
ぜひ、今後、このほかのいろいろなプロフェッショナルについてもフィールドワークをして、第2弾、第3弾を作ってほしい。
目次
第1章 新聞記者の人材開発(新聞記者をとりあげる意義、証券部の仕事内容 ほか)
第2章 企業内研究者の人材育成―一人前の研究者に向けたキャリア(問題と方法、一人前の研究者 ほか)
第3章 革新的マネジャーの誕生―キャリアにおけるエポックメーキングな仕事経験(問題と方法、営業の革新 ほか)
第4章 高いリスクに対処する人材開発―ファンドマネジャーなど(問題と方法、ファンドマネジャーに必要な技量 ほか)
第5章 融資審査の技能形成―中小企業専門金融機関で(問題と方法、融資審査の組織と職務内容 ほか)
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