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2007年6月25日 (月)

ISO思考

4334934110 有賀正彦「「不祥事」を止めるISO思考」、光文社(2007)

お奨め度:★★★★

このブログで、光文社ペーパーバックスの本を取り上げるのははじめてだが、主要キーワードに英語がつけてあるというこのシリーズはなかなか、よい。

ISOのドキュメントは、昔から、対訳本が必ず出ている。結局、日本語に翻訳したときに、ニュアンスが伝わらない部分があるからだろう。

この本はISOそのものの本ではなく、最近、世間を騒がせたいわゆる不祥事、不二家、関テレ、社会保険庁を取り上げ、なぜ、不祥事が起るのか、不祥事の発生を防ぐにはどうすればよいかを述べ、その対策を打っていくときに、ISOの考え方、あるいはシステムの導入が如何に有効であるかを述べた本である。

これらの不祥事はひと言でいえば、日本流の組織文化の悪い部分が原因になっている。そこに新しい組織文化を導入しなくてはならないが、その概念は、そもそも日本語にはない。そこで、ISOという話になる。

その中で著者がもっとも重要だと主張しているのは、顧客重視ということだ。これは、ISOの最もベースになっている発想である。著者の主張は、顧客を重視した仕事をすれば、そもそも、こんな不祥事は起らないだろうと述べている。

顧客重視というと、みなさんはどういうニュアンスで受け取られるだろうか?顧客にこびるとはいわないまでも、顧客の主張を受け入れると解釈される人が多いのではないだろうか?

この言葉のISOでの用語は、customer forcus である。つまり、商品やサービスを顧客が使うところにフォーカスして、品質を考えようという意味だ。結果として、顧客満足が生まれる。

書いていることはそんなに難しいことではないが、このように英語の意味を吟味しながら読んでみると、非常に奥のある一冊である。ISOの思想を知りたいと思うのであれば、ぜひ、読んでみてほしい。

目次

第1章 不二家と関西テレビの「自爆」
第2章 「再発防止」の標準化思考
第3章 企業不祥事を分析する
第4章 お役所は理不尽
第5章 ISOをビジネスに活かす
第6章 「機能不全のISO」をISO的に分析する
第7章 標準化思考獲得への道

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ISO思考を参照しているブログ:

» 『ISO思考』は見落としを減らし発想を広げることができる ((有)ロジカル・コミュニケーションのブログ)
拙著の宣伝になってしまうが、以前から案内しているようにこの5月22日に、 『「不祥事」を止めるISO思考 How to Use ISO Efficiently 』光文社 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334934110/bloglogcom-22 http://www.7andy.jp/books/detail?accd=R0259993 というタイトルの書籍を発刊させていただくことになった。 この本が商業ベースに乗るための書籍とし... [続きを読む]

コメント

コメントありがとうございます。本当によい本だと思います。

明日発行のPM養成マガジンのメルマガの書籍紹介コーナーで取り上げる予定です。

好川様
はじめまして!「ISO思考」著者の気づきプロデューサーと申します。
この度は拙著を取り上げていただき感謝いたします。
また、書評も私の想いを代弁していただき嬉しく思います。
ありがとうございました。

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