社会人のための経営学教科書
上林憲雄,奥林康司,團泰雄,開本浩矢,森田雅也,竹林明「経験から学ぶ経営学入門」、有斐閣(2007)
お奨め度:★★★★
大学の先生の書いた経営学の本。失礼な言い方かもしれないが、大学の先生にこんな本がかけるとは思わなかったという一冊。
易しい経営学の本は結構ある。代表格は老舗であり、第3版を重ねているやはりこの本だろう。
伊丹敬之、加護野忠男「ゼミナール 経営学入門」、日本経済新聞社(2003)
確かにやさしいし、書籍としても名著だと思うが、基本的には、教科書として学生向けに書かれた本である。MBAコースに行っていたときに、このギャップを感じることが多かった。加護野先生自身はいろいろな経験や知識をお持ちで、講義の中では現実との結び付けをしてくださるのだが、教科書はそうではないので、あまり、読む気にならなかった記憶がある。
その点、上林先生たちが書かれたこの本は、まさに経営の現場で働いている人たちが読める本である。実際に会社で行われていることや、おかれている環境、あるいは、自分たちのやっていることと経営理論をうまく結びつけて書かれている。
従って、経営論が何を意味しているのか、実感として分かる非常に素晴らしい本である。
目次
第1章 会社の経営とはどんなことか:企業経営入門
第2章 会社はどのようにして社会に役立っているのか:企業
第3章 会社は誰が動かしているのか:コーポレート・ガバナンス
第4章 会社はどのような方針で動いているのか:経営理念と戦略
第5章 会社はどんな仕組みで動いているのか:組織形態
第6章 会社は他の会社とどのように協力しているのか:組織間関係
第7章 会社はどのようにしてモノを造るのか:生産管理
第8章 社員は仕事をどのように分担しているのか:組織構造と職務設計
第9章 社員はなぜ働くのか:モチベーションとリーダーシップ
第10章 社員はなぜ組織にとどまろうとするのか:雇用システム
第11章 社員はどのような報酬を求めるのか:報酬制度
第12章 社員はどのようにして育てられるのか:人材育成制度
第13章 会社はどのようにしてモノを売るのか:マーケティング
第14章 会社は海外でどのように経営しているのか:国際経営
第15章 会社の利益はどのようにして測定するのか:会計制度
補 章 経営学とはどんな学問か:学問論
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