コンサルティングってなんだ?
デイヴィド・クレイグ(松田和也訳)「コンサルタントの危ない流儀 集金マシーンの赤裸々な内幕を語る」、日経BP社(2007)
お奨め度:★★★1/2
シニカルなコンサルタント論。
「御社の人と組織には無駄が多過ぎます。まさに瀕死の恐竜なのです」「この戦略パッケージなしには、もはや業界で生き残っていくことはできません」といった巧言を操り、企業に入り込んでいく。
一旦、入ってしまえば、「実際、この20年間、雀の涙ほどの魅力や機転を適当な経営用語で粉飾すれば、何百万ドルものカネが我々の懐に転がり込んできた」という程度の仕事しかしない。
その様子を「目の玉の飛び出るようなカネを払って、餓えた狼を雇い、大事な鶏小屋の管理を任せるようなもの」だという。
さらに、IT革命が彼らに、ITコンサルティングという新たな活躍の場を与えたと嘆く。
言いたい放題だが、おおむね、当たっているように思う。
しかし、それを企業も知っているのだ。その上で、コンサルティングを採用する。ここに何があるのか、これが問題である。
コンサルティングとは何かということを深く考えさせてくれる一冊だ。クライアント向けに書かれた本だが、クライアントより、コンサルタントに読んで欲しい一冊だ。
読みようによっては、コンサルタントのマーケティング論である。ひとつ、確実にいえることは、このぐらいの論理展開ができない人は、おそらく、この本に書いてあるようなおいしい果実にはありつけないということだ。
目次
はじめに----そろそろコンサルタントの真実を語るべきときだ
第1章 高性能型集金マシーンの真相
第2章 なぜ常に30%の削減率になるのか?
第3章 この世界に素晴らしき変革をもたらせ
第4章 失敗は、果てしない刑罰のごとく
第5章 サルでも売れる100万ドル・プロジェクト
第6章 門外不出の五つの詐術を公開する
第7章 なぜこんなに皆が買いたがるんだろう?
第8章 仰天の極東ビジネスの裏側
第9章 eチャンスが来た。破裂した。そして、......
第10章 天国から地獄へ
第11章 壮大なるシステム詐欺
第12章 大崩壊
結語 コンサルタントに食いものにされないための九カ条
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