金より名誉?!
太田肇「お金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす」、東洋経済新報社(2007)
お奨め度:★★★★1/2
太田肇先生と最初にお会いしたのは、神戸大学の大学院で学んでいたときで、太田先生が滋賀大学にいらっしゃった。まだ、今ほど、一般には知られていない時代だった。学位論文になった書籍
に共感を覚え、神戸大学のOBだったこともあって、インタビューをさせて戴いた。 金井先生を除くと、おそらく、僕がもっとも影響を受けた経営学者である。
太田先生の得意は、日本人の特性をよく理解し、利用する人材マネジメント論であり、少なくもと現実的であるということでは、東京大学の高橋先生と双璧だろう。
その太田先生の書かれた人材マネジメント論は
など、ユニークなものが多い。その中で、最高傑作ではないかと思うのがこの本だ。
組織で働く個人が認められるということに対するこだわり、その安直な方法としてのほめるということの弊害など、独自の視点で、突出を許さないに本の企業の中でいかに個人のモチベーションを高めていくかを述べられている。
非常に面白いのだが、この本によると、承認欲求を満たす方法で、ポストを与える以外の方法はないということも述べられている。
ただし、その代わりに社会から承認を受けようとするというのは確かにプロフェッショナルの感覚だと思うので、結局、それを積極的に認めることが承認欲求を刺激することになるのだろう。そう考えると、積極的に社外講演を認めるとか、学会発表を推進するとか、資格や学位の取得を支援するとか、日本の企業がいろいろやっているなと思う。
非常に面白いモチベーション論であるので、ぜひ、一読をお奨めしたい。
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