OODAサイクルを作る!
中村好寿「ビジネスに活かす!最新・米軍式意思決定の技術」、東洋経済新報社(2006)
お奨め度:★★★★1/2
プロジェクトのイメージに最も近い活動はおそらく、軍隊(戦闘活動)である。
プロジェクトの行動はPDCAサイクルだといわれる(計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act))。PDCAサイクルの発案は、品質管理の父といわれるデミングで、もともと、生産プロセス(業務プロセス)の中で改良や改善を必要とする部分を特定・変更できるようプロセスを測定・分析し、それを継続的に行うために改善プロセスが連続的なフィードバックループとなるように提案したものである。
これが現在、品質概念を拡張し、さまざまなマネジメントの場面で使われている。
この方法をプロジェクトマネジメントに導入したときに、違和感があるのは、「観察」が明示的に行われていないこと、「仮説」が明示的に扱われていないことである。この違和感を解消できるのが、この本で紹介されているOODA(観察(Observe)、状況判断(Orient)、決定(Decide)、行動(Act))ループを基本とする米軍が使っている軍事意思決定モデルである。
この本は、この意思決定をビジネスにどのように応用するかという視点から、意思決定手法の体系的な説明をしており、この本を読めば、このような意思決定を行うだけの知識は入手できるだろう。
先が見えないプロジェクト、頻繁に環境が変わって行くプロジェクトのマネジャー必読!
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■目次
第1部 軍隊の意思決定とは何か
1章 軍隊とは何か
2章 指揮官と幕僚の技能
3章 軍事意思決定法の種類
第2部 軍事意思決定とビジネス
4章 工業化時代の軍事意思決定法の問題点
5章 ボイドのループ型軍事意思決定論
6章 ループ型軍事意思決定法の特色
7章 タイム・ベース競争戦略
8章 如何にして経営テンポを速めるか
第3部 軍事意思決定の手順
9章 任務の理解
10章 状況の把握と行動方針の案出
11章 行動方針の分析-ウォー・ゲームの手法-
12章 行動方針の比較と決定
13章 作戦実施型の直観的意思決定法
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