行動に注目したリーダーシップ
グロービス・マネジメント・インスティテュート「MBAリーダーシップ」、ダイヤモンド社(2006)
お奨め度:★★★★1/2
ついに出たという感じの一冊。
グロービスのMBAシリーズは経営戦略とか、アカウンティングだけではなく、クリティカルシンキングだとか、オペレーション戦略だとか、結構、マニアックなテーマもあるのに、なぜ、今まで、リーダーシップがなかったのか不思議。
内容はよい。リーダーシップ行動(コンピテンシー)に焦点を当てているので、具体的で分かりやすく、実践的である。
まず、序章では、ショートケースを使ってリーダーシップ行動のイメージ作りをしている。ここで使われているケースは
・家電メーカマーケティング室製品開発プロジェクトチームの導入
・ミドルマネジャーの悩み
・F工場技術伝承プロジェクト
の3つで、いずれも「よくある話」である。ケースはこの章に限らず、すべての章で要点でケースによる説明が行われている。
第1章はリーダーシップの行動モデルを網羅的に説明している。一つ例を挙げると、エンパワーメント型のリーダーシップについて
1)目標の共有
2)自由度の実現
3)支援体制の実現
ということで、それぞれの方法をかなり具体的に示している。
さらに2章、3章では、リーダーシップ行動をとるために必要な技術を解説している。2章は、変革リーダーシップ、3章は条件適合リーダーシップという分類でまとめている。
内容自体は結構難しいし、行動説明をしている部分にしても、非常に難しいなあと思われるものがあり、それを実行するためのツールにしてもそんなに簡単に活用できるものではないものが結構多い。
しかし、今までにあるリーダーシップ本と較べると格段に実践的であり、また、コンピテンシーだけでリーダーシップの説明をした本に較べると、理論的な側面も書いてあり、MBAを目指すようなレベルの人にとっては非常に役立つと思う。そんな意味で、決定版かなと思わせる1冊である。
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