時間へのスタンスを持とう!
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「いかに「時間」を戦略的に使うか」、ダイヤモンド社(2005)
お奨め度:★★★★
ビジネスにおける時間の使い方は効率性ばかり言われるが、例えば、ドラッカーは、「プロフェッショナル条件」の中で戦略性の重要性について説いている。
現実を考えた場合、会社(ビジネス)のレベルでも、個人のレベルでも、効率的であることは重要だが、効率だけでは問題は解決しない。戦略性を持ち、限られた時間の使い方によって成果を大きくしていく努力をする必要がある。特に、プロジェクトのように有期性を前提にしている仕事では、この発想は大切である。
しかし、意外とこれは難しい。時間は無限の資源のような錯覚に陥ってしまうからだ。
もうひとつ、時間に関する問題で重要な問題は、創造性との兼ね合いである。時間の制約は創造性を損ねるのか、それとも、増幅するのか?明確な答えはないが、まったくの無関係ではなさそうである。
この本では、このような時間に関する問題を集めている。ハーバードビジネスレビューであるので、読んですぐに役立つというのはあまり期待しないほうがよいが、プロフェッショナルとして、自分なりに時間に対する「スタンス」を明確に持つためには非常に役に立つ論文が7編掲載されている。
お奨め!
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まえがき――「効率的」から「戦略的」へ
第1章◎マネジャーが陥る多忙の罠
セント・ガレン大学教授 ハイケ・ブルッフ
ロンドン・ビジネススクール教授 スマントラ・ゴシャール
マネジャーの多くがムダな活動に時間を取られている
フォーカスとエネルギ
(1)先送り型マネジャ
(2)逃避型マネジャ
(3)散漫型マネジャ
(4)目的志向型マネジャ
意義のあるチャレンジと個人の選択を
章末◎逃避型から目的志向型へ――ある転向の奇跡
第2章◎時間を浪費する人々
臨床心理士 スティーブン・バーグラス
時間の浪費癖は心理的葛藤から生じる
時間浪費社員の「四P」
(1)先行タイプ
(2)お人好しタイプ
(3)完璧主義者タイプ
(4)先送りタイプ
第3章◎時間的制約は創造性を高められるか
ハーバード・ビジネススクール教授 テレサ・M・アマビール
ハーバード・ビジネススクール博士課程 コンスタンス・N・ハドリー
リサーチャー スティーブン・J・クレイマー
時間的プレッシャーの下で創造的思考は生まれない
時間との戦い
やる気とフラストレーション
プレッシャーによる創造力の停止
部下の創造性を守る
マネジメントへの教訓
悪影響をよい影響で相殺する
章末◎創造性をつかまえる
章末◎従業員の日記から
第4章◎リターン・マップ:時間対効果の最適化
ヒューレット・パッカード ゼネラル・マネジャー チャールズ・H・ハウス
ボーイング 能力開発担当ディレクター レイモンド・L・プライス
チーム・メンバーの貢献度を時間と金額でグラフ化
リターン・マップの構成要素
製品の成功度を測る四つの評価基準
リターン・マップの活用法
製造開始以降のプロジェクトの管理
言うは易く、行うは難し
第5章◎時間主導型ABCマネジメント
ハーバード・ビジネススクール教授 ロバート・S・キャプラン
アコーン・システムズ創業者兼会長 スティーブン・R・アンダーソン
ABCが定着しない理由
時間主導型ABCのプロセス
従来のABC分析を簡略化する
コスト削減と利益改善の機会を把握する
章末◎ケンプス:小売りへの交渉力を手に入れる
第6章◎ジャスト・イン・タイム型ナレッジ・マネジメント
アクセンチュア 戦略的変革研究所所長 兼 バブソン・カレッジ 教授 トーマス・H・ダベンポート
パートナーズ・ヘルスケア・システム 副理事長兼CIO ジョン・グレーザー
ナレッジ・マネジメントを成功させる法
パートナーズのナレッジ・プロジェクト
ナレッジ・プロジェクトを成功させるカギ
ジャスト・イン・タイム型はすでに現実化
第7章◎日本企業に迫られるタイムベース競争の再検討
ボストン コンサルティング グループ シニア・ヴァイス・プレジデント ジョージ・ストーク・ジュニア
元HBR編集部部長 アラン・M・ウェバー
先行した日本企業の変調
日本のショーウインドー、秋葉原のジレンマ
他店に差をつける第一家電の戦略
〈レクサス〉、セブン-イレブンのヒットが示唆するもの
スピード信仰で自分を痛めつける日本
自滅と成功を分ける三つのステップ
戦略は進化しなければならない
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