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2005年9月20日 (火)

リーダーシップに「心理学」を生かす

447836085509 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「リーダーシップに「心理学」を生かす」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

この本、お奨め!

本では読めないような論文がずらっと並んでいる。論文といってもそんなに読みにくくはない。素人の僕にはよく分からないが、背景にいろいろな心理学の理論があるのだと思うが、少なくとも表に出てきている内容は、「ほ~」という感じのことばかりで、引き込まれるように読めるものが大半だ。

特に、お奨めは2点。

マイケル・マコビーの「転移の力:フォロワーシップの心理学」。フォロワーシップの特性を転移という現象から議論している。

もうひとつは、エドガー・シャインの「学習の心理学」。学習とリーダーシップ、組織文化の関係を議論している。強制的な説得の怖さを指摘した上で、学習にも組織文化の構築にも強制的説得が必要なことを主張している。

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目次

まえがき――いかに、組織の心理的側面を理解するか

第1章◎ リーダーシップの不条理
  INSEAD教授 マンフレッド・F・R・ケッツ・ド・ブリース

 CEOの精神分析家、ケッツ・ド・ブリース
 偉大なリーダーには孟母の影がつきまとう
 経営者の精神分析は精神病患者のそれより難しい
 ナルシシズムはリーダーの要件でもある
 フロイトの「転移」で考える
 なぜリーダーは仕事に埋没してしまうのか
 健全なリーダーは己の狂気を知っている

第2章◎ 転移の力:フォロワーシップの心理学
  精神分析医 マイケル・マコビー

 フォロワーを知ってリーダーシップを考える
 転移はだれにでも例外なく起こる日常的な現象である
 転移を賢く利用するために
 章末◎お国柄で異なる転移
 章末◎部下の転移に対処する

第3章◎ 自信と信頼なくして企業再生なし
  ハーバード・ビジネススクール教授 ロザベス・モス・カンター

 ターンアラウンドの要:社員たちの自信回復と信頼関係の再構築
 学習性無力感:低迷企業に働く力学
 下降スパイラルから上昇スパイラルへ
 コスト削減は美徳でも正解でもない
 章末'新しいほうきで掃除する

第4章◎ 道徳家ほど己の偏見に気づかない
  ハーバード大学教授 マーザリン・R・バナジ
  ハーバード・ビジネススクール教授 マックス・H・ベイザーマン
  ハーバード・ビジネススクール博士課程 ドリー・チャフ

 実はあなたは倫理的な人間ではない
 努力だけでは足りない
 偏見を自覚できる人が偏見を克服できる
 章末◎あなたは「偏見はない」と言い切れるか

第5章◎ 学習の心理学
  マサチューセッツ工科大学スローン・スクール経営学名誉教授 エドガー・H・シャイン

 転換的学習を阻むものは何か
 強制的説得の怖さ
 学習には強制が存在する
 学習不安と生存不安
 組織学習の勘違い――創造性開発、三六〇度評価の落とし穴
 企業文化には強制的説得が不可避である

第6章◎ なぜ地位は人を堕落させるのか
  スタンフォード大学経営大学院教授 ロデリック・M・クラマー

 なぜ権力を手にすると堕落し始めるのか
 勝者はすべてを欲する
 「ルールなんて凡人のためにあるものさ」
 組織の頂上には滑りやすい急坂がつきもの
 ほめ言葉が「裸の王様」をつくる
 トップであり続けるための日常習慣
 順調ゆえに前途多難であることに気づかない
 章末◎失脚の研究
 章末◎みずからのリーダーシップを「監査」してみる

第7章◎ 「不測の事態」の心理学
  ミシガン大学ビジネススクール教授 カール・E・ワイク

 組織は予測不可能な試練に直面している
 HROを支えるのは敏感さと意識の高さ
 複雑系に生きていることを理解する
 宇宙論的症状に対処するリーダーシップ
 過剰なる計画信奉の危うさ

第8章◎ 自己変革の心理学
  ハーバード大学 教育学大学院教授 ロバート・キーガン
  ハーバード大学 教育学大学院 チェンジ・リーダーシップ・グループ研究主任 ライザ・ラスコウ・レイヒー

 心にひそむ裏コミットメントが変化を拒む
 裏コミットメントを無視した施策は徒労に終わる
 変化に対する免疫反応をえぐり出せ
 マネジャー自身にも思い込みは存在する
 章末◎思い込みとは「現実感」である
 章末◎集団にひそむ裏コミットメント

第9章◎ チームの心理学
  精神科医 和田秀樹

 複雑性が支配する時代の「心理的セーフティ・ネット」
 「心理的ニーズ」の充足がチームの結束力を強くする
 自己愛が満たされている人は精神的タフネス度が高い
 「成熟した依存」を育む共感する力
 「疑う力」がチームの生産性を高める
 チーム・リーダーの条件

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