プロジェクトマネージャーが成功する法則
好川哲人:「プロジェクトマネージャーが成功する法則―プロジェクトを牽引できるリーダーの心得とスキル」、技術評論社(2003)
プロジェクトマネージャーが成功する法則
プロジェクトマネジメントについて説明した本は山ほどある。プロジェクトマネジメントが普及してきた証拠だろう。
プロジェクトマネジメントには、PMBOKのような「仕組み」や、ISO9000のような「ルール」としての側面と、「プロジェクトマネージャーの仕事」としての側面がある。もちろん、プロジェクトマネージャーの仕事の多くは、「仕組み」の運用であったり、あるいは、「ルール」に則って行われる。その中で、最近、注目されているのが、単に、「仕組み」の運用た、「ルール」に則った業務を如何に上手に行うかだ。つまり、プロジェクトマネジメントではなく、「PMコンピテンシー」である。
これには背景がある。プロジェクトには「不確実性」があるため、単に「仕組み」をつくり、「ルール」を作り、「ツール」を導入してもどうもうまく進まないことがわかってきた。よほど上手に行わないと、プロジェクトの成功はおぼつかない。現に、そこら中に失敗プロジェクトが氾濫している。
何が必要なのか?大きく分けると3つある。一つ目は、いわゆるスキルである。スキルというのは、仕組みやルールを使いこなすためのメタな知識である。これは主に、経験により蓄積されていく。二つ目は、ものの考え方である。そして三つ目は、これらの知識や考え方を行動に結び付けていくヒューマンスキルである。これはパーソナルコンピテンシーとも呼ばれる。この3つが有機的に、プロジェクトマネジメントの知識と結びついて初めて、PMコンピテンシーは発揮されるし、プロジェクトも成功する。
前置きが長くなったが、再び出版物に話を戻すと、「PMコンピテンシー」そのものについていは、PMIのPMCDのようにすでに出版物が存在している。ところが、どのようなことを知り、どのように考え、どのように行動すれば、「PMコンピテンシー」が高まるのかを体系的に解決した本はない。
本書は、これを、マネジメントプロセス、戦略、手法、問題解決、パーソナルコンピテンシー、経験という6つの側面から、体系的に説明しようとしている。常に、プロジェクトマネージャーが手元に一冊置き、プロジェクトマネージャーとしての成功をおさめてほしい!
なお、本書は、プロジェクトマネージャー養成マガジンという著者が発行するメルマガがベースになって構成されている本である。メルマガと併せて読むとより一層効果的であるので、ぜひ、メルマガも購読してほしい。
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【目次】
1章 プロジェクトマネジメントとは
1-1 なぜプロジェクトマネジメントなのか
1-2 プロジェクトとプロジェクトマネジメントとの関係
1-3 開発マネジメントとプロジェクトマネジメント
1-4 プロジェクトマネージャーの仕事と役割
2章 プロジェクトのマネジメントプロセス
2-1 プロジェクトマネジメントプロセス
2-2 CPCCのマネジメントプロセス
2-3 プロジェクト組織の構成
3章 プロジェクトマネージャー論
3-1 プロジェクトマネージャーとは
3-2 マネージャーと管理者の違い
3-3 プロジェクトマネージャーに必要なスキル
3-4 プロジェクトマネージャー自己開発プロセス
3-5 プロジェクトマネージャーに必要なコンピテンシー
4章 プロジェクトマネージャーの戦略的思考
4-1 企画・計画の戦略① プロジェクトシナリオを考える
4-2 企画・計画の戦略② プロアクティブにリスクを考える
4-3 計画の戦略 スコープ
4-4 計画・コントロールの戦略① 費用対効果
4-5 計画・コントロールの戦略② 仮説検証プロセス
4-6 コントロールの戦略 プロジェクトのクオリティ
4-7 終結の戦略 プロジェクトマネジメントの成熟度
4-8 ステークホルダマネジメントの戦略 プロジェクトマネジメントにおける
顧客満足
4-9 チームマネジメントの戦略 チームビルディング
4-10 コミュニケーションマネジメントの戦略 プロアクティブコミュニケーション
4-11 統合戦略 プロジェクトワークプレイス
5章 プロジェクトマネージャーが知るべき手法
5-1 WBSとマイルストーンで作業を具体化する
5-2 WBSでスケジュールをつくる
5-3 PERT分析で所要期間を見積もる
5-4 クリティカルパスでプロジェクトの遅延を防ぐ
5-5 EVMSで進捗を管理する
5-6 リスクをマネジメントする
5-7 プロジェクト憲章でプロジェクトの目的を共有する
5-8 コストの見積もりと予算の配賦の方法
5-9 クリティカルチューンで計画を管理する
6章 プロジェクトマネージャーのための問題解決法
6-1 プロジェクトにおける問題解決とは
6-2 問題はプロジェクトの中で解決するか
6-3 MECEでモレなくダブリなくリスクを洗い出す
6-4 ロジックツリーで問題を分析する
6-5 システム思考で複雑な問題を解決する
6-6 トレンド分析でプロジェクトの状態を把握する
6-7 フィッシュボーンダイアグラムで原因を分析する
7章 プロジェクトマネージャーの行動スキル
7-1 できるプロジェクトマネージャーに必要なコンピテンシー
7-2 コンピテンシーモデルを理解する
7-3 プロジェクトマネージャーのリーダーシップ
7-4 サーバントリーダーシップ
7-5 ファシリテーションとしてのミーティングマネジメント
8章 プロジェクトマネージャーのレッスンズラーンド
8-1 プロジェクトにおける失敗の整理
8-2 ケース1 コミュニケーション不足
8-3 ケース2 プロジェクトマネージャーの選定
8-4 ケース3 顧客から追加の要求が発生
8-5 ケース4 プロジェクト目的があいまい
8-6 ケース5 見積もりの感覚
8-7 ケース6 あいまいな進捗報告
8-8 ケース7 管理ミス
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