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2010年1月30日 (土)

新企画!【杜の中の3本の樹】第1回 「決める」3冊

「ビジネス書の杜」の今年の目標の一つは、「3冊まとめて本を読む」という書籍紹介を行うことです。

この書籍紹介方法は、松岡正剛さんのイシス編集学校が3冊屋という企画として書店で展開している方法です。実際に参加してみて、「3冊であることの意味」をぼんやりと感じることができましたので、ビジネス書という分野に限定して、でもう少し、極めてみたいと思っています。おつきあいいただければ幸いです。

ビジネス書の杜では、この企画を「杜の中の「三本の樹」」と名付けることにしました。

初回のお題を何にしようかと迷っているうちに、もう1月も終わりになって、慌てて決めました。第1回のお題は

 決める3冊

です。


【決める3冊】

●西村 行功「シナリオ・シンキング―不確実な未来への「構え」を創る思考法」、ダイヤモンド社(2003)

4478490406 

●後 正武「意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法」、ダイヤモンド社(1998)

4478372608

●リクルートHCソリューションユニット、太田芳徳「「決める」マネジメント」、英治出版(2009) 

4862760384


 

 

 

【メッセージ】

ビジネスにおいて、「決める」という行動はもっとも基本的な行動です。決めなくては、ビジネスは動きません。今、「サラリーマン金太郎」を深夜ドラマでやっています。この中で、以下のような話が出てきます。「ヤマト中央建設」は、過去に建設した旅館の工事に手抜きがあり、大きな地震が起これば崩壊する案件をいくつも抱えています。社長室長である金太郎は、過去に行った手抜き工事を公表し、無償で補修工事をすることを発案します。しかし、そんなことをしたら、会社の存続が危ぶまれます。それどころか、業界として同じ問題を抱えているために、一企業の存続の問題ではすまなくなる可能性があります。そこで、主流派の経営陣は、新築の施設を無償で提供し、手抜き工事のもみ消しに走ることを決めようとします。

あなたなら、どのような判断をしますか?

一ついえることは、この状況において、正しい答えはないということです。そもそも、建物の償却期間のうちにそんな大きな地震が起こるかどうか分からないという不確実性が根底にあります。人命最優先ということは間違いありません。問題は、何をすれば人命優先が実現できるかなのです。これはそんなに単純ではありません。

仮に、すべてを無償で対応することにして、「ヤマト中央建設」が倒産してしまったとすれば人命優先など実現できないことになりますし、倒産した企業の仕事を観光客が信用するかどうかも微妙で、そうなると旅館も倒産という最悪のケースに陥らないとも限りません。

その意味で、自社の経営状況をコントロールしながら、安全対応をしていく、新築の代替を提供する方法にも一定の合理性があります。ただ、一定と書いたのは、建築に関わるすべての企業がすばらしいコンプライアンス意識があるという「前提」であればの話です。このような事態では、当然、コストが押さえられますので、その条件で下請けがすべて完全な工事をやってくれるかどうかがリスク要因になってきます。

こういう状況で大切なことは、いくつかの妥当なシナリオを描いて、方向性を決め、その方向性に向かって迅速に行動し、かつ、最善を尽くすということです。この問題は、企業の存続に関わる問題であるどころか、業界の体質にも関わるような大きな問題です。そのため、慎重に決めようとしますが、逆なのです。大きな問題であればあるほど、完全な答えはありません。時間の経過が状況を悪くします。「ヤマト中央建設」の問題だと、いつ地震が起こるか分からないわけですので、時間をかけることは最大の愚策です。一般的にも、意志決定に時間をかけることによって、可能な選択の範囲は狭まります。

早く決める

ことが重要です。ここで、間違っていたらどうするのかという疑問を持つ人が多いと思います。間違っていたら、軌道修正すればいいだけです。

特に、日本の企業は、上位者は「正しい」指導をしなくてはならないという「強迫観念」に縛られてきました。正しい答えがあるなら、それも一つの方法ですが、正しい答えがない問題が圧倒的に多くなると、何も決めることができず、何もできないままで、大きなダメージを受けてしまうようになってきました。もっと悪いのは、決めることができないので、部下に決めてくれと頼むようになってきました。「できることは何でも支援するから」という言い訳を添えて。

最大の支援は、「方針」を決めることです。

さて、決める3冊は上のようなイメージを持って選びました。

まず、1冊目はシナリオを作ることができるようになるための本です。問題を明確にし、解決の方向性を描く技術になります。シナリオプラニングとか、シナリオシンキングとか呼ばれる手法があり、多くのよい本が出版されている分野です。その中で、僕自身が一番最初に勉強するときに読んだ本を選ぶことにしました。

西村 行功「シナリオ・シンキング―不確実な未来への「構え」を創る思考法」、ダイヤモンド社(2003)

平易にシナリオプラニングについて解説してある本ですので、まず、この本から入ると良いと思います。

2冊目は、決める技術です。これは自分なりの答えを見つける技術です。ここは、いろいろな考え方がありますが、シナリオを起こしたあとでと考えると、それなりにハードなアプローチが必要になります。そこで、選んだのは

後 正武「意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法」、ダイヤモンド社(1998)

です。僕は、日本人の書いた意志決定の「ビジネス書」の中で、この本が一番よいと思っています。

3冊目は、このような手法を知っていても、実行スキルがないと実際には決めることはできません。最近、意志決定の実践スキルを扱った本がちらほらと目につくようになってきました。中でも、昨年のアワードに選んだこの本を選びたいと思います。

リクルートHCソリューションユニット、太田芳徳「「決める」マネジメント」、英治出版(2009)

◆セミナーの告知

はい、ということで、お約束(笑)の「告知」です。

太田さんのセミナーをやります。良い本です。また、太田さんは、「小話の太田」といわれるくらい、多くのエピソードをお持ちの方で、本に書けなかったエピソード満載のセミナーになるそうです。ぜひ、この機会にセミナーで、直接太田さんの話を聞いてください!

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆組織を強くする、「決める」マネジメント◆(2PDU)
  日時:2010年02月16日(火)19:00-21:00
  場所:銀座ブロッサム中央会館(東京都・中央区)
  講師:太田芳徳様(株式会社リクルート)
  詳細・お申込 http://www.pmstyle.biz/smn/20100216.htm
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