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2009年1月19日 (月)

コーピングでチャンスをピンチに変える

4534044615 田中 ウルヴェ 京「立ち止まってもすぐに前進できる 「打たれ強い心」のつくり方」、日本実業出版社(2008)

お奨め度:★★★★

「チャンスをピンチに変える打たれ強い心」をつくるをテーマに、シンクロナイズドスイミングのオリンピックメダリストである著者がコーピングをベースにしたメンタルトレーニングの方法についてまとめた一冊。

本としてはかなり作り込んであり、方法論を8つの「力」としてまとめている。この本でいう8つの力とは

・コーピング力 ← ピンチの自分をコントロールする
・思考力 ← 考えたとおりの自分になる
・セルフトーク力 ← 自分に自信をつける
・リラクセーション力 ← 本来の自分にリセットする
・適当力 ← あえて自分をマイナスに傾ける
・サイキングアップ力 ← やる気と集中力を高める
・自分軸力 ← ブレない自分を確立する
・立ち位置力 ← 自分と社会のバランスを上手にとる

であり、これがそれぞれ1章にまとめられている。

書いてあることはもっともであり、読んでいるときは、「ふんふん」という感じで読めるが、読み終わって、さて、やってみようと思ったときに、どこから手をつけてよいかよくわからない。その意味で読み物(リーディングス)である。書かれていることはかなり実践的であるだけに、もったいない気がするが、そのようなテーストの本であろう。

そう考えると、自己啓発本として読むよりはむしろ、マネジャーが部下を効果的に指導するために読む本としてより適しているのではないかと思う。視点も内発的動機と外発的報酬について書いているところや、適当力のところなどは、そういう色合いになっている。

さて、それはさておき、この本の中心になっているのは、ストレスの軽重とパフォーマンスの関係を表現した逆U字と呼んでいるカーブである。

逆U字をイメージして、ストレスコーピングの発想で、チャンスをピンチに変えるという方法を説明している。そのために、まずU字上で自分の現状を認識(思考力、セルフトーク力)→マイナスを消す(リラクセーション力、適当力)→プラスを作る(サイキングアップ力、自分軸力)という順序で説明されている。

方法としては、心理的なエクスサイズと、身体的なエクスサイズが組み合わされている点が興味深い。ストレスコーピングの応用なのだと思うが、読んでいると無意識にやっているものもあることに気がついたので、そのような目で考えてみると確かに効果があるような気がする。まあ、ストレスコントロールに苦労している人はこの本を読んで試してみる価値はあるように思う。なお、本書はストレスコーピングそのものはあまり詳しくないので、

田中ウルヴェ京「コーピングの教科書」、インデックス・コミュニケーションズ(2008)

の本を併読されることをお薦めしたい。

もう一つの特徴は、単に心理的な方法や身体的な方法だけでなく、キャリア的な視点が入っていることだ。これがマネジメント向けの本だと感じた理由の一つでもあるのだが、目先のストレスを解消することはともかく、仕事の中で本当の意味でストレスから解消されるストレスコーピングにはキャリアという視点は不可欠なのだと思う。それは本の中では第8章の立ち位置力にコミュニケーションの視点から書かれているが、コミュニケーションだけではないように思う。この続きを読みたいものだ。

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