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2008年10月 1日 (水)

質問だけで会議してみませんか?

4569702899_2 清宮普美代「質問会議 なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか?」、PHP研究所(2008)

お奨め度:★★★★1/2

21世紀に入ってから注目されるようになってきたアクションラーニングについて、マイケル・マーコード博士の手法を「質問会議」と名づけ、平易に、事例を交えて紹介した一冊。

マーコード博士の提唱するアクションラーニングは、質問会議の著者の翻訳で

4478374694 マイケル・マーコード(清宮 普美代、堀本 麻由子訳)「実践 アクションラーニング入門―問題解決と組織学習がリーダーを育てる」、ダイヤモンド社(2006)

という本で紹介されている。この本ではアクションラーニングを

ステージ1:グループ編成とスケジュール
ステージ2:問題の提示
ステージ3:問題の再定義
ステージ4:目標の設定
ステージ5:行動計画の策定
ステージ6:学習したことの確認

の6つのステージを

・問題
・グループ
・質問とリフレクションを重視するプロセス
・問題解決のための行動を起こす
・学習へのコミットメント
・アクションラーニングコーチ(ALコーチ)

の6つを基本要素として、

・意見は質問に対する回答のみ
・アクションラーニングコーチはいつでも介入できる

の2つのルールを守りながらまわしていく(ミーティング)マネジメントである。

本書では、構成要素の「質問とリフレクション(振り返り)のプロセス」を強調して、質問会議と読んでおり、アクションラーニングのプロセスがうまくいくためのポイント(魔法の仕掛け)として以下の点を上げている。

ポイント1:参加者とその役割
ポイント2:ALコーチの設定
ポイント3:時間とその配分
ポイント4:基本ルール(質問中心)
ポイント5:基本ルール(振り返りとALコーチ)
ポイント6:現実の問題
ポイント7:行動計画と実施
ポイント8:成長と変化に対する意識付け

まず、2章では、これらのポイントについて簡潔に説明している。これを受けて、第3章では紙上で質問会議のシミュレーションをしている。この章は貴重である。2章で書かれていること、あるいは、このあとの4~5章でかかれていることをこの章を読みながら、確認していくような読み方をお奨めする。

そして、第4章では、質問会議の結果として起こるチーム学習について述べている。また、最終章では事例を振り返りながら、実際の現場でどのような効果があったかを紹介している。

アクションラーニングの発想は、個人では対応できないような複雑な問題に対してチームアプローチが必要で、チームに学習させるにはどうすればよいかというところにある。その源流は20世紀を代表するプラグマティズムの哲学者ジョン・デューイの「社会や生活との関連を重視した教育」の提唱にあるといわれる。

このような考えは看護の世界から始まり、ビジネスの世界にも持ち込まれ、多くの試みがなされている。たとえば、

4478373876 デービッド・ガービン(沢崎冬日訳)「アクション・ラーニング」、ダイヤモンド社(2002)

にはそのような試みの多くが紹介されている(この本の原題は Learning in actionであり、この本にはパフォーマンスをあげるという視点からアクションラーニング以外の組織学習の試みも多く紹介されている)。

その中で、マーコード博士の方法は完成度の高さ、運用の容易さから、決定的な方法だといえよう。

最後に、この本を読んで多少気持ちが悪かった点がある。それはチームの状態をマネジメントするモデルが明確でない点。現実の場面を思い浮かべると、協力的でないメンバーもいるが、それを巻き込んでチームや組織の学習が進んでいくかどうかはなぞである。

【目次】
第1章 なぜ、あなたのチームは機能しないのか(質問会議が生み出すもの
チームを活性化させる場はあるか
チームをマネジメントする方法をもっているか)
第2章 基本の流れをおさえれば誰でも質問会議ができる(質問会議のエンジン
質問会議 実施におけるポイント“魔法の仕掛け”
質問会議の進行の12ステップ)
第3章 紙上で体感!これが質問会議だ(質問会議デモセッション
再定義できないケース
胃県会議との違いを考える
質問会議がチームの生産性を上げる5つの理由)
第4章 質問会議で鍛えるチーム力(質問会議で開発される能力
チーム脳を誘発する共有と共感のマネジメント
リーダーの仕事はチーム脳を出現させること
チーム脳がチーム行動力を生む)
第5章 質問会議が現場を変えた!(真の問題を発見できた
コミュニケーションが活性化した
現場の実行力がアップそた
変革リーダーが育成できた
チーム活性化がはかれた
理念の共有がはかれた

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