CGMは何をどう変えるか?
伊藤史「CGM-消費者発信型メディア―Web2.0時代のマーケティング戦略」、毎日コミュニケーションズ(2007)
お奨め度:★★★★
Web2.0がいろいろな変化を期待されている中で、大いに注目されているCGM(Consumer Generated Media)について、体系的にまとめた一冊。非常に分かりやすく書かれている。
まず、第1章で、CGMの定義や最新動向、CGMが発達する要因について述べられている。CGMが何かよく分からない人もこの章を読めば大枠を把握することができる。
2章以下では、CGMが消費者行動を変えつつあることと丹念に述べている。
・語り始める
・つながりはじめる
・能動化する
といった切り口から消費者行動の変化をまとめている。その上で、企業はそれにどのようなマーケティングで対応すればよいかを述べている。
さらに、それを踏まえて、変化に対応するというより、もう少し、プロアクティブな意味で、企業がどのようにCGMを活用していけばよいかをまとめている。
あまり知らなかった分野だが、この本を一冊読んでだいたいのことが分かった。ただ、ひとつだけ残った疑問がある。それは消費者行動が変わるという議論ではなく、消費者という概念そのものはこれからどう変わって行くかという疑問。能動化する消費者のところで少し触れられているが、そもそも、生産者と消費者という区分そのものが意味があるのかという気もしてくる。Web2.0が、単に、google化、amazon化だけではなく、パラダイム変化を引き起こす可能性があるのはこの辺りではないかと思われる。場合によっては、マーケティングの概念そのものを変えるポテンシャルも秘めているのではないかと思う。
そこも含めて、興味深いコンセプトであるCGMを理解するには最適の一冊である。
目次
第1章 CGMとは何か
第2章 CGMが変える消費者と企業の関係
第3章 「語りはじめた消費者」と企業の対応
第4章 「つながりはじめた消費者」と企業の対応
第5章 「能動化する消費者」と企業の対応
第6章 企業におけるCGMのさらなる活用
第7章 CGMの可能性と今後の課題
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