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コンセプチュアルスタイル考 Feed

2017年5月16日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第35話:コンセプチュアル思考による意味のイノベーション

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9984019/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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【参考文献】
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
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Imi

◆デザインの次に来るもの

先日、「デザインの次に来るもの」(クロスメディアパブリッシング)という本を読みました。著者は安西 洋之さんと八重樫 文さんで、安西 洋之さんはモバイルクルーズという会社を経営されており、ミラノと東京を拠点としたビジネスプランナーとして多くのデザインプロジェクトに参画されています。八重樫 文さんは立命館大学デザイン科学研究センター長で、デザインやデザインマネジメントが専門の方です。

この本が非常に興味深いのは、デザインのレベルを

1.デザインを全く取り入れていない
2.デザインをスタイリングとして扱っている
3.デザインをプロセスの中に取り入れている
4.デザインを戦略として位置付けている

の4つのレベルに分けたときに、4.の手法としてはデザイン思考が知られていますが、それだけではなく、特にEUを中心に

・デザイン思考
・ユーザー中心デザイン
・デザイン・ドリブン・イノベーション

の3つのアプローチが重視されており、デザイン・ドリブン・イノベーションで狙っているのが「意味のイノベーション」だという指摘です。

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2017年5月12日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第34話:抽象度を変えてビジネスの問題解決を行う

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【参考文献】
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
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Tyusho

◆コンセプチュアルスキルはなぜ定着しないのか

コンセプチュアルスキルの基本は抽象度を変えることによって、物の見方を変え、(マネジメント)行動を変えることです。

コンセプチュアルスキルが提唱されたのは1950年前後で、まだマネジメントという概念がない時代です。この時代に個々の具体的な問題への対応だけではなく、個々の問題を組織全体としてみた(抽象化した)ときにどのように見えるかを考えたというのは画期的なことでしたが、マネジャーにとっては理解しにくいことだったと思われます。

前回述べましたように、今ではコンセプチュアルスキルはマネジメント以外でも、ビジネスやイノベーションなど様々な分野で必要になってきており、それらの活動に関わる人の必須スキルになっていますが、なかなか定着しないのはやはり概念としての難しさにあるといえるでしょう。

もっともなぜ難しいかと考えたときに、概念的であるので難しく、コンセプチュアルスキルがないとなかなかスキルとして習得しにくいというややこしい構造に難しさの本質があります。この構造を乗り越えてスキルを身につける突破口になるのが抽象度を変えて問題解決を行うことだと思われます。

ということで、今回はビジネスにおけるコンセプチュアルな問題解決について考えてみます。

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2017年4月25日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第33話:コンセプチュアルスタイル

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Conceptual

◆「コンセプチュアルスタイル」

この連載ではコンセプチュアルスキルの基本的な考え方についてお話してきましたが、32話で一段落し、一冊の書籍にまとめることができました。連載記事の内容を倍くらいにして、かつ、まとまって読みやすいと思いますので、よろしければ手に取ってみてください。こちらの書籍です。

「コンセプチュアル思考」(日本経済新聞出版社)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim

さて、新しい年度を迎えるに当たって、この後どのような方向にもっていくかを考えていました。

概念的にはこれまでの記事を基本編として応用編をやりたいと思っているのですが、具体的にはマネジメントへの活用をはじめ、事業への活用、イノベーションへの活用などいくつかの方向性が考えられ、少し迷いました。結局、PMと同じくやはりいろいろな視座や視点があるのだというところに落ち着き、「スタイル」を着眼点とすることにしました。つまり、「コンセプチュアルスタイル」の提唱です。



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2017年4月10日 (月)

【コンセプチュアルスタイル考】第32話:コンセプチュアル思考で、相手の立場で考える

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Aite

◆相手の立場で考えるとは相手の主観で考えること

ビジネスやマネジメントにおいてよく「相手の立場で考えよう」という言い方をします。なんとなくさわりのいい言葉であるので重要だと思う人は多いと思いますが、実践するのはそんなに簡単なことではありません。

相手の立場で考えるということは、相手の主観で考えるということです。ここを客観的なものだと思ってしまうとおかしなことになります。相手の意見を客観的に考えるだけなら、相手の立場で考える必要などあまりないからです。

ところが現実にはこの落とし穴に落ちているケースが多いように見受けられます。

どういうことかといいますと、大抵は自分の視点や価値観(つまり自分の主観)で、相手の都合のよいことはどういうことかと考えているのです。

たとえば、仕事のスケジュールが遅れてきたときに上司に報告した方がよいのか、しない方がよいのかと迷い、相手の立場で考えてみようとします。ここでよくあるのは、自分が相手の立場だったらどうするかと考えればいいと思ってしまうことです。そのように考え、「聞きたくない」だろうと考えてしまい、報告せずに怒られました。

こんな風にものごとを考えているケースは決してすくなくありません。

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2016年9月16日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第31話:コンセプチュアルな対人行動

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Communication2

◆コンセプチュアルでない対人行動の問題点

最後に対人行動について考えます。この行動はコンセプチュアル思考力の高い人とそうでない人で大きくは以下のような違いがあるます。

・高い コミュニケーションを構造的に捉え、構造を活用した対人影響を与える

・低い 人間関係に注意が集中し、結果として相手に影響を与えることができない

ここでは、特にコミュニケーションについて考えてみたいと思います。コンセプチュアルスキルが低いとコミュニケーションにおいて以下のような問題が起こりがちです。

(1)聴くことを重視し、相手に影響を与える流れが作れない
(3)人間関係の構築に注意が集中し、与えたい影響を与えられない
(3)話を聴くが、そのまましかるべき人に伝えるだけである

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2016年8月30日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第30話:コンセプチュアルな意思決定

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Isikettei◆意思決定のコンセプチュアルな人

これまで問題解決、計画、構想とコンセプチュアル思考でどのように行動が変わるかを考えてきましたが、今回は意思決定行動について考えます。まず、この行動はコンセプチュアル思考力の高い人とそうでない人で大きくは以下のような違いがあります。

・高い 決めるべきところを明確にし、迅速な意思決定ができる
・低い 意思決定の方向性を見いだせず、情報収集に明け暮れ、決定できない。

コンセプチュアルスキルが低いと意思決定において以下のような問題が起こりがちです。

(1)何を決めるべきかが不明確で、決定に時間がかかる
(3)客観性や論理性にこだわり、情報収集に明け暮れ、決定できない
(3)長期的な視点が欠けた部分最適な意思決定になる



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2016年8月16日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第29話:コンセプチュアルなコンセプト構想

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Kousou

◆コンセプチュアルでないコンセプト構想の問題点

問題解決、計画と行動をコンセプチュアルに変えることを考えてきましたが、次はコンセプト構想です。この行動はコンセプチュアル思考力の高い人とそうでない人で大きくは以下のような違いがあるます。

高い:状況を大局的に把握し、全体最適な構想をする
低い:特定の部分に目が行き、部分最適な構想をする

本来、構想は全体的であってほしいわけですが、コンセプチュアルスキルが低いと部分最適な構想を描き勝ちです。その理由は以下のような問題があります。

(1)大局的な視点を持てないため、構造的な構想ができない
(2)特定の部分に固執し、部分最適な構想をする
(3)長期的な視点が欠けた構想になる
(4)構想に自分の視点を持ち込めず、受け身の構想になる

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2016年8月 1日 (月)

【コンセプチュアルスタイル考】第28話:コンセプチュアル思考で計画をコンセプチュアルにする

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Plan前回は、コンセプチュアル思考で問題解決行動をコンセプチュアルに変えるという話をしました。次に計画行動について考えます。

コンセプチュアルスキルが低いと計画において以下のような問題が起こりがちです。

(1)成果と計画の関係が不明確である
(2)計画が網羅的であり、優先度が不明確である
(3)客観性にこだわり、結果として、妥当性の低い計画になる


◆問題行動を変える(1)

コンセプチュアルスキルが低い人の計画に「問題行動」として多いのは

(1)成果と計画の関係が不明確である

という行動です。計画は成果をどのように実現していくかを決める(計画する)ためにありますので、こういう表現をするとちょっと違和感があるかもしれません。しかし、現実をみると、既存のやり方をベースにして計画が作られるため、どのアクティビティがどの成果に結びついているのかが明確でないことは少なくありません。

このような問題行動を解消した計画を行うにはどうすればよいのでしょうか?

この問題行動を解消するためには、まず

・大局的にはどういう仕事か/分析的にはどういう仕事か

を考えてみることが不可欠です。発生している問題を目先の問題としてしか捉えていませんが、どのように捉える必要があるかと考えてみると、

「大きく見るとこれはどういう仕事で、その仕事はどのように進めていくのか」

を考えることが必要です。これは、プロジェクトマネジメントでいうところのWBS(ワークブレークダウンストラクチャー)とFBS(ファンクショナルブレークダウンストラクチャー)、OBS(オーガニゼーションブレークダウンストラクチャー)を統合して定義するようなものです。

これを繰り返すことによって、成果との関係が明確な計画をすることができます。

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2016年7月 1日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第27話:コンセプチュアル思考で問題解決行動がどう変わるか

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Problem_sol

◆はじめに

前回はコンセプチュアルスキルとしての問題解決に対して、5つの軸をどのように適用すればよいかを説明しました。今回はその続きとして、それによってどのように行動が変わるのかについて考えてみたいと思います。


◆問題行動を変える(1)

コンセプチュアルスキルが低い人の問題解決における「問題行動」として多いのは

(1)目先の問題の解決に終始するので、類似の問題が再発する(再発)

という行動です。このような問題行動を解消した問題解決を行うにはどうすればよいのでしょうか?

この問題行動を解消するためには、まず

・大局的にはどういう問題か/分析的にはどういう問題か
・長期的にはどういう問題か/短期的にはどういう問題か

と考えてみる必要があります。発生している問題を目先の問題としてしか捉えていませんが、どのように捉える必要があるかと考えてみると、

「大きく見るとこれはどういう問題で、その問題がどのように現実に起こっているのか」

を考えることが必要です。つまり、大局的/分析的な軸からの思考です。たとえば、前回、使いました交通事故の例でいえば、運転技術の分析的な問題として捉えるのか、運転環境も含めた大局的な問題として捉えるのかによってその解決方法が違います。そこで、両方の視点から考え、決めていくわけです。この例では運転環境の問題として捉えています。

前回少し触れましたように、このような思考軸は具体的な概念として起こっている問題を捉えるときに必ず必要な視点になりますし、思考の抽象度を考えるときに不可欠な視点です。

また、もう一つの視点として、長期的にみれば起こっている問題はどういう問題で、それがいまどういう形で起こっているのかを考えてみる必要があります。つまり、長期的/短期的な軸からの思考です。運転環境の問題は、短期的にみれば道路の問題ですが、長期的にみれば交通量なども含めた問題になります。このように長期/短期の視点は、解決策を考える際に、どういうスパンで考えればよいかを考えるために重要な視点になります。

そして、これらの答えを引っ張りながら、

・抽象的に考えるとどういう問題で、どういう解決策が考えられるか。その解決策を具体化すればどういう解決策が考えられるか

という検討を行う必要があります。つまり、交通事故といっても、どのような原因のものを対象とするのかによって抽象度が変わってきます。たとえば、交通事故全般を対象にするのか、運転ミスによる事故を対象にするのかによって、問題の抽象度が違いますが、抽象度を適切に取ることがよい解決策を考えることの前提になるわけです。

これらのアクションを取ることによって、

「問題の本質をとらえ、概念レベルで問題解決を行うため、再発しない問題解決をする」

ことが可能になります。



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2016年6月10日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第26話:5軸を統合した問題解決を行う

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◆はじめに

コンセプチュアル思考には5つの軸がありますが、これは必ずしも個別に使うわけではありません。コンセプチュアル思考によって構想、計画、問題解決、意思決定、対人影響などのマネジメント行動、あるいはアイデア創造、モデリングなどの業務行動を生み出すわけですので、一つの行動を生み出すために5つの思考を混ぜて使うことの方が多いと考えられます。

では、混ぜて使うにはどのようにすればよいのでしょうか?まずは問題解決を対象に考えてみたいと思います。

Fig261



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