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2012年3月 2日 (金)

【PMスタイル考】第38話:ゲームというスタイル

◆反復可能性と予測可能性と新規性

Gameプロジェクトマネジメントの成熟度という考え方があります。プロジェクトとは、初期の状態から、目指す状態に移動することですが、システム開発やプラント開発のように生産を目的とするプロジェクトでは、常に変わらない結果が欲しいので、反復可能で、予測可能な結果を目指して作業を管理します。つまり、成熟度が高くなるとは、この2つの可能性が高くなることに他なりません。

可能性を高くするためには、ゴールは具体的で定量的であることが求められます。

ゴールが明確な場合には、決まった業務プロセス(たとえば、開発プロセス)を踏むことが最良の方法です。したがって、プロジェクトマネジメントは業務プロセスを計画し、実行していくことに最大の役割があります。

一方で、プロジェクトには、新規性という特徴があります。従って、あるプロジェクトの業務プロセスは以前のプロジェクトの業務プロセスの反復ではありませんし、また、業務プロセスによって予測できない部分も出てきます。

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【PMスタイル考】第37話:リフレクションというスタイル

◆自分の失敗は

プロジェ4532316790クトマネジャーがプロジェクトの進め方について考えるときに、自分の失敗行動についてあまり考えようとしない(計算に入れようとしない)傾向があります。リーダーたるもの、正しい行動をし、メンバーを導いていくものであって、リーダーが失敗を認めると、メンバーに対して示しがつかないと思っている人は、意外と多いようです。

もっとも、この傾向はプロジェクトマネジャーに限らず、リーダー一般にあるようです。興味のある人は、この本を読んでみてください。多くの事例が紹介されています。

リチャード・テドロー(土方 奈美訳)「なぜリーダーは「失敗」を認められないのか―現実に向き合うための8の教訓」、日本経済新聞出版社(2011)

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2012年2月28日 (火)

【PMスタイル考】第36話:与件の整理

◆与件

与件という言葉があります。他から与えられることを意味する言葉ですが、特に、解決されるべき問題の前提として与えられたものを意味します。

与件に対して、「与件の整理」という概念があります。初めてであったのは、「ISIS編集学校」の破のコースの中の「プラニング編集術」というカリキュラムでした。イシス編集学校で学んだことはいろいろとありますが、仕事への役立ち度では、プラニング編集術が一番でした。特に、この与件の整理という概念は新鮮でした。

与件の整理で使ったフォーマットは、6H3Wというもので、これ自体はプロジェクトマネジメントでプロジェクトを整理するための使われるフォーマットと同じです。面白かったのは、二軸四方を使って情報の特徴検出をしながら6W3Hに落とし込んでいくというものです。二軸四方について詳しく知りたい人は

4492554971松岡 正剛編集、ISIS編集学校「直伝!プラニング編集術」、東洋経済新報社(2003)

を参照してください。

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2012年2月15日 (水)

【PMスタイル考】第35話:プロジェクトリーダー考

◆リーダーとは

Leaderみなさんはプロジェクトリーダーというとどのような立場の人をイメージしますか?

改めて説明するまでもないと思いますが、リーダーという言葉はある集団においてその集団を引っ張っていく立場の人です。集団は企業かもしれませんし、事業部かもしれません。あるいはプロジェクトかもしれませんし、2~3名のチームかもしれません。つまり、ひとが2人集まれば、リーダーが生まれるわけです。

リーダーが生まれると書いたのは、リーダーは誰かに指名されるものでもないですし、本人がやるといえばなれるものでもありません。リーダーになる方法はただ、一つ、メンバーからリーダーとして認められることです。

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2012年1月21日 (土)

【PMスタイル考】第34話:制約条件とエンパワーメント

◆前提条件と制約条件

Constraintプロジェクト憲章でプロジェクトに伝えるものの一つにプロジェクトの実施条件があります。実施条件には、前提条件と制約条件があります。

プロジェクト憲章を上位組織(プロジェクトスポンサー)がプロジェクトを定義し、プロジェクトマネジャーを任命するドキュメントだと考えると、前提条件というのは組織としてプロジェクトに約束することになります。委譲する権限、マネジメントサポートなどが主な内容になります。

では、制約条件とはなんでしょうか?額面通りに解釈すれば、プロジェクトを行うにあたって、プロジェクトを制約したいことです。予算、納期、リソースに関する制限などが制約条件として与えられます。そして、プロジェクトは制約条件を満たしながら組織との間で合意した成果物(プロダクトスコープ)を実現していきます。

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【PMスタイル考】第33話:スター主義

Star◆スター主義経営

スター主義経営という言葉があります。おそらく、造語だと思いますが、ハーバードビジネススクールのジェイ・ロッシュ教授と、ベイン・アンド・カンパニーのコンサルタント トーマス・ティアニー氏がプロフェッショナルファームの経営形態として使った言葉です。もともとも英語は、「Aligning the star」ですので、スターを並べて、事業を行うといったイメージです。

ジェイ・ロッシュ、トーマス・ティアニー(山本 真司 , 大原 聡訳)「スター主義経営―プロフェッショナルサービス・ファームの戦略・組織・文化」、東洋経済新報社 (2007)

スターという言葉は死語化しているように思いますが、ジェイ・ロッシュ教授たちのいうスターとは、


「優秀かつ長期的に組織に価値をもたらす従業員」であり、「卓越した個人の能力を持ちながら、チームワークを重視し、企業の利益を最優先で考えるという行動特性を持つ存在」

のことです。まさにビジネスの世界できらめく人材で、「ビジネススター」とでもいうような人です。

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2012年1月11日 (水)

【PMスタイル考】第32話:洞察する

◆コンセプチュアルワークは洞察で行き詰る

Style「洞察」という概念があります。辞書では

物事を観察して、その本質や、奥底にあるものを見抜くこと。見通すこと。

と説明されています。この説明からも分かるようにやっかいな概念です。戦略策定、
シナリオ作成、プロジェクトの目的を考えるなど、洞察の必要なコンセプチュアルワ
ークが行き詰るときは、大抵、洞察で行き詰ります。

洞察できないと起こる状況は割とはっきりしています。「浅い」ということです。

商品開発やプロジェクト、新規事業などの企画プレゼンを聞いていると、筋は通って
いるのだが、浅いと感じることがよくあります。そんな企画は、たいてい失敗します。

逆に、仕組みを作る立場になりますと、「ここは洞察で」としか、説明のしようがな
いことがよくあります。

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2011年12月 5日 (月)

【PMスタイル考】第31話:完璧主義と最善主義

Style◆完璧主義と最善主義

昨年、ハーバード大学で至上最大の受講者があったというタル・ベン・シャハー教授のポジティブ心理学の講義を書籍化した本が出ました。その中に、「完璧主義」を手放すというセッションがあります。

タル・ベン・シャハー(成瀬 まゆみ訳)「ハーバードの人生を変える授業」、大和書房(2010)

興味深い指摘なので、少し詳しく紹介したいと思います。

完璧主義というのはよく使われる言葉なのでご存じだと思いますが、「最善主義」というのは「現実の制約の中で最善を尽くそうという考え方」のことです。通信の用語で、ベストエフォートという言葉がありますが、あれですね。

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2011年11月29日 (火)

【PMスタイル考】第30話:ドラッカースタイル番外編 ~ エグゼクティブスタイル

Style◆エグゼクティブ問題

ドラッカースタイルは前回で終わろうと思っていたが、整理していて、もう少し訴えたいことがあったので、今回は番外編とした。

前回まで、ドラッカーの思考を

1.成果を上げる(成果を大きくするドラッカー思考)
2.価値をもたらす計画をたてる(戦略と計画に関するドラッカー思考)
3.顧客を中心に考える(顧客に関するドラッカー思考)
4.チームを動かす(チームのパフォーマンスを高めるドラッカー思考)
5.マネジメントを極める(プロジェクト品質を向上させるドラッカー思考)
6.イノベーションを実現する(技術を有効に活用するためのドラッカー思考)
7.プロフェッショナルになる(自己成長のためのドラッカー思考)

の7つの視点から紹介してきた。今回は番外編として、「エグゼクティブ」問題を取り上げてみたい。カタカナ英語でエグゼクティブという言葉は、役員を指して使われることが多いが、辞書的(定義的)な意味は、管理職員、重役、役員などを指す言葉である。

少し、脱線するが、「executive」の語源は「execute」であり、「死刑を執行する」という意味がある。今年は、裁判員制度で初の死刑判決が下されたが、人が人の生を合法的に奪う死刑ほど思い決断はない。ここから転じて、エグゼクティブは

「最後の決断・決定が出来る人」

という意味で用いられ、上記のような意味で使われるようになった。

さて、ドラッカーのエグゼクティブという言葉の定義は少し異なる。というか、「最後の決断・決定が出来る人」に近い。ドラッカーは経営者の条件の中で

今日の組織では、自らの知識や地位のゆえに組織の活動と業績に実質的な貢献を果たす知識労働者は、すべてエグゼクティブである(経営者の条件)

と指摘している。ドラッカーの考えでいえば、自分自身で地位だけではなく、専門性に基づいて意志決定し、業務を行うものはエグゼクティブだということになる。

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【PMスタイル考】第29話:ドラッカースタイル~プロフェッショナル編

Style◆はじめに

これまで、

1.成果を上げる(成果を大きくするドラッカー思考)
2.価値をもたらす計画をたてる(戦略と計画に関するドラッカー思考)
3.顧客を中心に考える(顧客に関するドラッカー思考)
4.チームを動かす(チームのパフォーマンスを高めるドラッカー思考)
5.マネジメントを極める(プロジェクト品質を向上させるドラッカー思考)
6.イノベーションを実現する(技術を有効に活用するためのドラッカー思考)

と進んできたドラッカースタイルもいよいよ、最終回だ。最後は、プロジェクトマネジャー自身の問題に言及したい。テーマは

7.プロフェッショナルになる(自己成長のためのドラッカー思考)

である。実はドラッカー思考を一つに伝えると、極端な違和感を持つ人が少なからず存在する。特に、顧客中心やイノベーションなどでは目立つ。そのような人と話してみると感じるのがプロフェッショナル観の違いだ。彼らにしても何らかの意味でプロフェッショナルである。プロフェッショナルの定義は難しいが、少なくとも、「自分で稼ぐことができればそれでプロフェッショナルだ」という感覚を持つ人にはドラッカー思考は違和感が出てくるのではないかと思う。


◆ドラッカーのプロフェッショナル論の原点

そのような人も含めて、最後にドラッカーのプロフェッショナル論をお伝えしたい。

ドラッカーのプロフェッショナル論の原点は

一つは、人は、何によって人に知られたいかを自問しなければならないということである。二つ目は、その問いに対する答えは歳をとるにつれて変わっていかなければならないということである。成長に伴ってかわっていかなければならないのである。三つ目は、本当に知られるに値することは、人をすばらしい人に変えることであるということである(プロフェッショナルの条件)

というところにある。価値と成長、そして影響力である。プロフェッショナルになるには、この3つの要素を備える必要がある。一つ目の自分は何によって人に知られたいかというのは大抵の人は考えることである。日本的にいえば、何で食って行きたいかである。

プロジェクトマネジメントを一生懸命やっているIT業界や製造業では、プロフェッショナルを意識しはじめる時期は業務担当者としての時期であり、当然、そのときに担当している業務でプロフェッショナルになりたいと考える。例えば、システム設計であったり、営業であったり、マーケティングであったり、品質管理であったり、生産管理であったりする。ここは比較的、スムーズにいく。

問題は二番目である。何によって知られたいかは歳を取るにつれて変わっていくことだ。たとえば、あなたは「技術力」によって知られたいと考えているとしよう。あなたの技術力は経験とともに成長していく。このときに、いつまでも「技術力」で知られたいと思っていてよいのかという問題である。

この問題は二つの側面がある。一つはあなた自身の問題としてどうかという問題だ。これは主観的な問題であり、そう思うならそれで構わない。ただし、「知られたい人」からみた場合には、「成長していないように見える」ということを認識した上でそのような考えを持つ必要がある。知られる技術が高度化しても、技術は技術であり、ビジネスにおいてそれ自体が価値であることは珍しい。価値をもたらす手段に過ぎないということだ。

もっと現実的な問題は、組織にとっての問題である。あなたが技術に拘り続ける限り、後進の妨げになることがある。よく先輩の技術者が後輩の技術者に「技術的指導」と称して自分の考えを押しつけている光景をよく見かける。押しつけているかどうかをチェックしたければ、後輩が彼自身のやり方で成功したときに素直に喜べるかどうかを想像してみればよい。

この話は三つ目の指摘と関わってくる。自分と同じ技術を後輩に身につけさせることが、後輩を「すばらしい人」に変えることになるという問題だ。一昔前の技術進歩が比較的ゆっくりしていた時代ならそういう一面もあっただろう。しかし、今はそうではない。技術を伝えることによって仕事はスムーズにいくかもしれないが、人は育たないし、事業も育たない。

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