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◆概念化と抽象化
まず言葉の定義をしておきたいと思います。辞書を引くと、概念的と抽象的という2つの言葉は同じ意味のようで、微妙に違います。たとえば、「大辞泉」では概念的であることを
概念的:個別性を問わず、概括的・抽象的にとらえるさま
とあります。概念的という言葉の説明に抽象的という言葉が使われています。これは前回触れましたように、
「いくつかの事物に共通なものを抜き出して、それを一般化して考えるさま」
と説明されています。
そこに、さらにキーワードとして概括的という言葉が使われています。概括というのは内容のあらましをまとめることです。もう少し、正確にいえば、「諸事物に共通する性質に着目して、それらの事物を一つの概念のもとに「統合」すること」です。
簡単にいえば概念化するというのは、抽象化したものをある概念に統合していくことです。詳しくは改めて議論したいと思いますが、統合するためには抽象化するだけではなく、抽象化したものを具体的に展開してみて、妥当性を検証するという具体と概念の行き来を繰り返し行いながら、収斂させていく必要があります。
そうはいいながら、概念化と抽象化の区別ははっきりしない場合の方が多いと思いますので、この連載の中ではここを細かく使い分けることはしませんが、一応、このような違いがあることを頭の片隅に残しておいてください。