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2020年10月21日 (水)

全く新しい読書法~探求型読書

B08fqy9q92
編集工学研究所「探究型読書」、クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2020)

(紙の本)https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4295404373/opc-22/ref=nosim
(Kindle)https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08FQY9Q92/opc-22/ref=nosim

お薦め度:★★★★1/2

  

 

 

 

 

 

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◆探索型読書の効用

編集工学研究所が提唱する「探究型読書」は、物事を深く思考したり、自分なりの考えを組み立てたり、問題の本質を追及し続けるための「手段としての読書」である。

一般的な読書の目的は、「本の内容を読んで理解すること」であるが、探求型読書は「自分の思考を縦横無尽に展開させること」であり、パラダイムが違うともいえるし、見方によっては読書という行為の本質的な意味なのかもしれない。

一般的な読書の目的は「本の内容を余さず理解しながら読み通すこと」ですが、探究型読書の目的は、本を活用しながら「自分の思考を縦横無尽に展開させること」です。

本書はその探求型読書について、意義、進め方、事例と実践者との対話を掲載した一冊である。

まず、探求型読書は本が何らかの効用を持っていることを前提にしているが、それは以下のようなものだ。

・思考のジャンプ台になる
・視点を底上げする
・「わたし」の隠れ蓑になる
・友に進む乗り物になる
・対話の触媒になる

これらについては、以下の紹介する本書の内容を読んで頂ければ意味合いが分かると思う


◆探索型読書の心得

探求型の読書は、通常の読書とは目的が異なるため、本の読み方そのものに特徴がある。それは次の5つで、心得だと呼んでいる。

その1 読前・読中・読後
その2 著者の思考モデルを借りる
その3 かわるがわる
その4 伏せて開ける
その5 仮説的に進む

非常に修飾的言い方なので分かりにくいが、まずその1から。

探求型読書は、読前・読中・読後の3つのステップで本を読む。つまり、本屋に行って本棚を眺める、一冊の本を手にとってぱらぱらとページをめくってみるというところか探索型読書は始まる。これを読前という。読前の状態で、本の内容に関する仮説を立てるのだが、これは主体的に読書することを意識したもので、その準備段階が読前である。

その後に、実際に本を読む。これが読中だ。そして、最後は本の内容を振返り、連想を広げる。そのために、自分の仮説を誰かに話したり、他人の意見を聞いたりする時間を取るのだ。ここれはアナロジー思考で、どれだけ発想を広げられるかがポイントになる(本書ではアナロジカルシンキングと呼んでいる)。本書では、アナロジカルシンキングによって、情報が知恵になっていくとしている。

いずれにしても、このプロセス、特に読後のプロセスが探索型読書の有効性のポイントになる。

これはその2の「著者の思考モデルを借りる」ことに他ならない。つまり、探索型読書では、読んでいる本の著者の思考モデルを借りて、自分の思考を開始する端緒にすることを推奨している。このためには2つの方向性がある。

一つは、著者の思考モデルを詳細に分析すること。もう一つは、いったんは著者の思考モデルを参考にしながも、それを自身の問題意識に引き寄せ、独自の思考に展開していくことだ。

その次の2つの心得は分かりにくい。一つは「かわるがわる」。これは探索型読書では、正確に理解するより、仮説的に読み取っていくことを重視しており、そのために短時間で本の内容をトレースする。そういう読み方をしていると、まだよく分からないといったモヤモヤが出てくるが、それを解消するために本に向かうと、分かりすっきりするというプロセスの繰り返しになる。このもやもやとすっきりの繰り返しが「かわるがわる」だ。

もっと分かりにくいのが「伏せて開ける」。これは何かを記憶したいなら、そのとっかかりと作ればよいという考え方のもとで、読んだ場所をいったん「伏せ」、その内容を目をつぶって回想し、その後、該当するページを開けて、内容を確認することを推奨している。
これを繰り返し行うことがその5の「仮説的に進む」に貢献する。つまり、伏せて開けることによって、仮説が思い浮べやすくなるという。確かにどの通りだ。

探求型読書の最大のポイントは、自身の問題を本の内容を照らし合わせて、少ない情報を材料にしながらまずは仮説をくみ上げ、その仮説をフィルターにして、本の内容をスキャニングしていくことにある。これは実際に実践してみないと腹落ちしないと思うが、やってみると非常に楽しく、気づきの多い作業である。


◆探索型読書のための本の選び方

次に、本書では探索型読書に適した本の選び方を示している。既に述べたような読書のなので、ある程度形式的な面でも、内容的にも適・不適がある。形式的な面で、薦めているのは、新書だという。これは、構造化されており、また丁寧に情報設計されているからだという。

内容的には、ハウツーものより、学術的なアプローチを採用したものやノンフィクションが適しているそうだ。これも、やはり構造がしっかりしているからだろう。ちなみに、編集工学研究所では

「世界知」
「共同知」
「個別知」
の3つの知のレイヤーでとらえて、それぞれのレイヤーで、「話題の本」、「古典」、「異色の本」というようにタイプをずらしながらラインナップを選んでいるという。


◆探索型読書の進め方

本書では詳細なステップを示すとともに、そのステップを踏むために使うフォーマット「探索型読書ノート」を示している。電子ファイルも入手できるので、一度、ためして見るのが手っ取り早いだろう。

大きくは、既に述べたように読前、読中、読後のステップを踏むが、まず、読前は以下のステップになっている。

(1)ヒントを集める
 ・カバーや帯から読み取る
 ・目次から読み取る
(2)関係を可視化する
 ・合わせると何かになる
 ・3つでセット
 ・パカッと分かれる
 ・ポップ・ステップ・ジャンプ
(3)仮説を描く
 ・読む前に読後感を予想する

次に、読中であるが、これは目安として20~30分である。そのため、「Q読み」と「A読み」を高速に相互反復するすることが重要だ。「Q読み」、「A読み」とは本の中から、QuestioンとAnswerを探す作業である。

これを繰り返すことにより、内容の大枠を掴むのだ。これを本書では、「QAサイクル」を回すと読んでいる。そして、Q/Aを探すヒントになるのが、読前ステップの目次読みだとしている。そして、目次読みが丁寧に行われていれば、高速にサイクルを回すことができるとしている。

同時に、読者のQ/Aもメモしておくことを薦めている。つまり、著者の視点や疑問意見などを拾い読みしながら、「ここは分かった」、「ここは疑問である」といった自分の意見や問いを書き残しておくことだ。

そして読後はアナロジカルシンキングである。ここでは、読前、読後に顕在化され、可視化された問題意識とその思考過程こそが探索型読書において求めるものである。

読後に行うのは、読中ステップを経た上での読前ステップで予測した内容要約(仮説)の振返りだ。このステップには、3つの手順がある。

・仮説を振り返る
・似たものを探す
・自分ゴトに置き換える


◆実践は本書を読みましょう。

本のつくりとしては、ここまでが半分で、後半の半分は編集工学研究所が探索型読書のプログラムを紹介し、その実践例と、実践責任者との対話という構成になっている。本紹介記事で??、この部分は割愛する。興味がある人は、ぜひ、本書を読んでみてほしい。

◆体験会

ビジネス書の杜では、「探求型読書」の体験会を行います。詳しくはこちらをご覧ください!

「探求型読書」体験会参加者募集(無料)
https://mat.lekumo.biz/books/2020/10/post-59b0.html

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