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2019年10月29日 (火)

文系と理系の交差点に立てる人にこそ大きな価値がある

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ウォルター・アイザックソン(井口 耕二訳)「イノベーターズ1 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史」、講談社(2019)

 
 
お薦め度:★★★★★
 
 
 
 
 
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アイザックソンといえば、「スティーブ・ジョブズ」の唯一の公式の伝記
 
の著者として知られるが、そのアイザックソンが「スティーブ・ジョブズ」の執筆前から書き始めていたという本。伝記の取材でジョブズから聞いた

 「その後、文系と理系の交差点に立てる人にこそ大きな価値があると、僕のヒーローのひとり、ポラロイド社のエドウィン・ランドが語った話を読んで、そういう人間になろうと思ったんだ」

 というメッセージが本書の構成を決めたようだ。そこには、

・イノベーションはコラボレーションから生まれた
・デジタル時代の真の創造性は、芸術と科学を結び付けられる人から生まれてきた

という2つの事実があり、本書はこの事実を掘り起こす形で書き進められている。

コンピュータとインターネットは誰が考えたのかは意外と知られていないが、本書は、その源に一人の女性がいたことから始まる。コンピュータの母といわれる伯爵夫人エイダ・ラブレスである。
 
彼女から、世界初のコンピュータの誕生、プログラミングの歴史、トランジスタとマイクロチップの発明、そしてインターネットが生まれるまでを網羅されている。。コラボレーションした先駆者、ハッカーや発明家、アントレプレナー(起業家)たちがどんな人間だったか、何を考えたのか、その創造性の源がなんだったのかをI巻、II巻併せて、900ページにわたり、つづっている。
 
注目したいのは、その発明のほとんどはコラボレーションのなかから生まれていることだ。そこで、本書ではどんなコラボレーションが繰り広げられたのか、さらに、チームとして働く能力が彼らの創造性をいっそう引き出したのはなぜかを見事に解き明かしている。

デジタルイノベーションについて書いた本は結構ある。しかし、それはすべてどこかを切り取って詳しく述べられたものであり、本書のように大局的な流れを描いた本はまだない。そして、その関連付け自体がイノベーションだと思われるような内容に仕上がっている。

今年のベスト3に入る本というだけではなく、歴史的な意味がある本だ。ぜひ、読んでみよう。ちなみに、kindleで読める無料お試し版
 
【無料お試し版】イノベーターズ 天才、ハッカー、ギークが織りなすデジタル革命史
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07YKT5HFG/opc-22/ref=nosim
 
が出ている。900ページ近い分量なので、躊躇する人はこちらを読んでみるのもいいかもしれない。

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