禅的発想で生産性を上げよう!
レオ・バボータ(有枝 春訳)「減らす技術 The Power of LESS」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2009)
お奨め度:★★★★★
Zen Habits(禅的生活) - Simple Productivity
で人気ブロガーのレオ・バボータの著作「The Power of LESS」の訳本。
人生をシンプルで生産的にすることをテーマにした本で、前半は6つの原則、後半は、仕事の仕方、人付き合い、電子メールやインターネットの使い方、机の上の整理、健康管理などについて、6つの原則を実践する方法を具体的に提案している。
レオ・バボータのテーマは「シンプル・イズ・ベスト=余分なものを減らしてシンプルにする」で、そのためには、以下の2つが重要なステップになる。
ステップ1:大切なことを見極める
ステップ2:それ以外のものを取り除く
この本は、この2つのステップを如何に実践するかを書いたものである。そのためには、一度に一つのゴールにだけ集中する「ワン・ゴール方式」がポイントだ。
減らすことが如何に重要か。レオ・バボータはこんな寓話で語っている。
2人の新聞記者がいた。1人は大量の記事を書く。もうひとりは1週間に1本だけと決めて記事を書く。数を追う記者はありとあらゆる情報にざっと目を通し、ちょっとでもネタになりそうなものなら拾ってきて短時間で原稿を書き上げる。しかし、通り一遍の記事に読者からの反応は特にないが、編集長は仕事量に満足して、彼を褒め称える。
もうひとりは、まず、初日にじっくりと半日かけて情報収集とブレインストーミングをする。読む人をうならせるインパクトの強い題材を精選する。つぎの2日間はリサーチ。残り2日で原稿をまとめる。事実確認にも念を入れる。
結果は週に1本だけと決めた記者の記事は読者に愛され、その週で最高の記事になり、章まで獲得する。そして、昇進する。やがて、彼の力量は広く知れ渡り、人々の記憶に残り、その1本の記事をきっかけにキャリアが開けていく。
この寓話は、「週に1本しかかけないのではなく、書かない」こと、つまり、制限していることがスタートになっている。これこそが、レオ・バボータがこの本で言いたいことだ。
レオ・バボータは減らすためには、6つの原則があるという。
減らす原則1:制限する
減らす原則2:本質に迫ることだけを選ぶ
減らす原則3:シンプルにする
減らす原則4:集中する
減らす原則5:習慣化する
減らす原則6:小さくはじめる
さて、これらの原則を如何に実践するか。次は減らすテクニック編だ。レオ・バボータ秘伝のテクニックは次のようなもの。すべて、大切なことを見極め、それ以外のものを取り除くというステップを取り入れ、また、6つの原則に則ったテクニックだ。
シンプル・ゴール
シンプル・プロジェクト
シンプル・タスク
シンプル時間管理
シンプル・Eメール
シンプル・インターネット
シンプル・ファイリング
シンプル・コミットメント
シンプル・ルーチン
シンプル・デスク
シンプル健康管理
とても具体的なのだが、一つ一つのハードルは決して低くない。そのハードルをうまく乗り越えられるように、最後に、始めるときにモチベーションを高める8つの方法と、つらくなったときにモチベーションを維持する20の方法について教えてくれる。
基本的には、1~2年前に山のように出版されたHACKS本だと思うが、原則が洗練されており、幅広く、原則を適用しようという趣旨である。その原則は、「禅」の精神である。
もう少し、根本的に禅を生活や仕事に取り込んでみたいという人は
枡野 俊明「禅、シンプル生活のすすめ (知的生きかた文庫) 」、三笠書房(2009)4837977979
がお奨め。また、禅、そのものを学んでみたい人には、たくさん本があるので迷うが、こちらをお奨めしておく。
星野 和子(安永 祖堂監修)「一からはじめる禅」、ダイヤモンド社(2009)
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