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2009年3月 3日 (火)

【ほぼ日 読書日記】2009年3月1日

「日記に書籍の写真を載せる件」についてだが、予想以上の不評につき、中止。今後も、写真を載せるのは、紹介記事を書く本に限ることにした。

さて、2週間ぶりに東京。1週間、東京にいないのは年に数回あるか、ないか。

東京以外ではほとんど本屋に行かないので、どんな本が出ているか楽しみにしながら、夕食後にいつもの本屋さんに。いいものを見つけた。

高橋 浩一「レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング」、日本実業出版社(2009)

プロジェクトマネージャー養成マガジンの初期に開催していた「メルマガセミナー」でシステム思考の話をして戴いたことのある高橋浩一さんの新作。ホテルに戻って早速読む。

タイトルは、コバンザメ作戦か?レバレッジポイントはもともと、システム思考が元祖だからいいか。

システム思考がイマイチ盛り上がらない一つの理由は本ではないかと思う。確かに、ピーター・センゲという偉大なるグルの

ピーター・センゲ(守部 信之訳)「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」、徳間書店(2005)

というバイブルと、何冊かのワークブック、および、バージニア・アンダーソンの

バージニア アンダーソン、ローレン ジョンソン(伊藤 武志)「システム・シンキング―問題解決と意思決定を図解で行う論理的思考技術」日本能率協会マネジメントセンター(2001)

とトレーニングブックと、かなり良質な本の翻訳は出版されているものの、日本人のオリジナルの本となると、寂しい。

西村さんの書かれた

西村 行功「システム・シンキング入門」、日本経済新聞社(2004)

枝廣淳子さんの書かれた

枝廣淳子、内藤 耕「入門! システム思考」、講談社(2007)

などがある。日本人の書いた本の中では、枝廣淳子さんと小田 理一郎さんの共著

枝廣 淳子、小田 理一郎「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方」、東洋経済新報社(2007)

がシステム思考のイメージがしやすい良い本だと思うがいずれも、使い方をイメージできるような本では無かった。教科書の域を抜けていない。

高橋さんの本はこの点が非常に良くできている。初の実用書といってもよいだろう(って、書きすぎか?)。

システム思考は、センゲのイメージもあってか、孤高の思考法みたいなところがある。ほかのフレームや思考法との組み合わせがよくわからないという話をよく聞く。

高橋さんの本では、5章以降でほぼ半分のスペースをコンサルティング事例だと思われるような活用法の紹介に当てている。特に、5章はレバレッジポイントの見つけ方を説明しつつも、それをワークショップの中でどのように使っていくかを事例で説明していて、とてもよい。これはすばらしいなあ。

そのうち、紹介記事を書くので、この本はここまで。ちなみに、来年は僕はこんなセミナーをやる予定。

プロジェクトのレバレッジマネジメント
http://www.pmstyle.biz/smn/reverage.htm

高橋さんの本を読んで貰えば、1日目のプログラムは要らんなあ、、、

さて、時間が前後するが、移動の新幹線の中で戴きものの本に目を通す。

大宮 知信、竹間 忠夫「できる奴はIC(インディペンデント・コントラクター)になる! 」、アールズ出版(2009)

取材対象に際だって興味深いものは無かったが、ルポとしては絶品。おもしろい!作品としてのおもしろさを際立たせるための取材対象を選んでいるのではないかと勘ぐりたくなるよう。

僕は、ノンフィクションライターになりたいと思っていた時代があり、高校から大学時代に、ノンフィクションを読みあさっていたし、大宅壮一ノンフィクション賞の選考記事なども読んで研究していた。自分では相当目が肥えていると思っている。

最近のルポは、取材対象で読ませているものがほとんど。演出を決めて、必要な情報をとったとしか思えないような本が多い。TV的手法。そんなルポはインターネットで書けてしまう。エスノグラフィーがない世界。

もちろん、取材対象もライターの実力のうちだと思うが、やっぱり、こういう本の方が感動を覚える。やっぱり、この世代の著者の取材力と編集力はすごいわ、、、

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