エド・ブラドー隊長のブートキャンプ
エド・ブラドー(青木高夫訳)「交渉のブートキャンプ―12回特訓プログラム」、幻冬舎(2008)
お奨め度:★★★★
勝ち負けというのは過去の交渉スタイルであり、現在の交渉は、当事者同士がどちらも満足するための共同作業であり、相手が得られる満足度は絶対価値ではなく相対価値で決まる
を原則に書かれた交渉スキルの解説本。
本書では最初に、交渉にまつわる誤解を5つのあげている。
(1)交渉のうまい人は性格もタフである
(2)交渉は白黒の世界で、勝つか、負けるかしかない
(3)話のうまい人は交渉上手である
(4)はっきりものを言うのは、傲慢な性格の表れだ
(5)女性は男性に勝てない
このような偏見の指摘から入ること自体が、著者の交渉のうまいところだろう。要するにここをベースラインにして、これらの問題がクリアできればこの本は買う価値があると主張しているわけだ。
本書はタイトルにあるとおり、12つの「特訓」からなっている。
特訓1:君に交渉の資質があるか?
特訓2:耳をフルに活用せよ!
特訓3:主張は強力に!
特訓4:交渉に備えよ!
特訓5:「勝つか負けるか」の交渉とは?
特訓6:譲歩を活用せよ!
特訓7:Win‐Winの交渉とは?
特訓8:19の基礎テクニックを学べ!
特訓9:買い手と売り手
特訓10:職場での交渉
特訓11:外国人との交渉
特訓12:こんな交渉もできる!
ブートキャンプだけあって、特訓の内容は極めて具体的である。たとえば、特訓3の「主張は強力に!」の内容を見ると、まず、気持ちの持ちようが大切だと主張し、それをサポートしてくれるのは、
・オプションがあること
・相手に「ここで合意しないと損だ」と主張ができること
・相手にオプションがあっても、状況は君に有利だと信じ込ませられること
だといい、それを信じて、
・相手の弱点を見つけよ!
・交渉の鍵を見つけよ!
・こだわり
・自信を持て!
・オプション
・徹底的に粘る
・相手を理解せよ!
・リスクを覚悟せよ!
・主張の正当性
・弱者の強み
という流れで、具体的な方策を述べている。12の特訓はすべてこのように具体的に行われる。最後まで読み終えれば、少なくとも気分はタフネゴシエータになったような気になれる一冊だ。
それにしても「!」が多い本だ。ブートキャンプだからだろうか(笑)
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