リーダーシップからスポンサーシップへ
柴田昌治「なぜ社員はやる気をなくしているのか~働きがいを生むスポンサーシップ」、日本経済新聞社(2007)柴田昌治
お奨め度:★★★★1/2
スコラ・コンサルティング代表の柴田さんが、自らの組織変革のコンサルティングの経験から、経営のスポンサーシップのあり方について述べた一冊。スポンサーシップは分かりにくい概念であるが、この本で提唱されているものは非常に合理的で、また、的を得ていると思う。
この本では(強い)リーダーシップの弊害について指摘し、それに変わるチームをまとめる概念としてスポンサーシップを定義している。最初、読んだときにピンとこなかったが、よく考えてみるとその通りだと思った。この本ではスポンサーシップを
リーダーシップの一種。ただ、引っ張っていくリーダーシップではなく、部下が主役になりうる機会を演出することで「質の高いチームワーク」をつくり出して行くリーダーシップ
と定義している。要するにどうだということはいえないような微妙な話である。捉え方によってはファシリテーションリーダーシップやサーバントリーダーシップと似た概念であるが、似て非なるものである。やはりスポンサーシップである。
具体的なスポンサーシップの機能としては
(1)個人のセーフティネット作り
(2)対話でビジョンを描き、共有する
(3)対話力で一緒に答えを作る
(4)当事者としての姿勢と自己革新
を一緒にあげている。
柴田さんは以前から、プロセス変革、組織変革の中で、スポンサーシップの重要性を説かれていた。
柴田昌治「なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ」、日本経済新聞社(2003)
この本はここが中心になっている。この本だけ読むと、スポンサーシップで会社が変わるというように読めなくもないが、そういうことではないと思う。ただ、本当にこの部分にフォーカスしないと会社が変わらないということを事例などを通じて切実に伝えてくれる本である。
組織変革に関わっている人はもちろんだが、プロジェクトスポンサーシップを発揮しなくてはならない人はぜひ読んで欲しい。具体的に何をすればよいかが分かるだろう。
そうですよね。PMとかメンバーとして一生懸命頑張っているうち、やばっり会社の認めと激励を頂いたらやる気がもっと強くなるな!私は弊社でのCMMI3認証を参加していた時、組織参与・支持の重要性をすごく感じました。組織の重視するだけ、あまり参与しない態度に傷つけれてしまいました。だんだんやる気がなくなってしまいました。組織変革がほしいんだなぁ。
投稿: kakugyoubi | 2007年8月 2日 (木) 19:22