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2007年5月

2007年5月 8日 (火)

PMBOK読本

4774122572_3 司馬 紅太郎「空想プロジェクトマネジメント読本」、技術評論社(2005)

お奨め度:★★★1/2

「機動戦士ガンダム」、「ガラスの仮面」、「あしたのジョー」、「宇宙戦艦ヤマト」、「エースを狙え」、「ゴルゴ13」、「冬のソナタ」、「仮面ライダー」、「サイボーグ009」、「ウルトラマン」という聞けば誰でも知っているようなアニメやドラマをネタに、PMBOKの説明をした一冊。

本のつくりとしては、アニメやドラマのあらすじを紹介し、その上で、登場人物の行動や、ストーリーについて、PMBOKではどのように説明できるか、あるいは、PMBOK的に見てその行動やストーリーをどのように評価できるかということを書いていっている。

読本という名がついている割には、書いてある内容が難しく、PMBOKかアニメのどちらかを知らないと、著者の言いたいことをあまり、理解できないのではないかと思う。

ただ、アニメのストーリーを知っている人がPMBOKの「知ったかぶり」をするために読むプロジェクトマネジメントの本としてはたいへん役に立つ。知識を切り刻んで並べ立てる図解本よりはずっとよい本だと思う。この本を読めば、きっと本に書かれている以上のことを語ることができるだろうしl、その中に真実があろう。

同じような試みに、「ウルトラマン研究序説」という本がある。この本はウルトラマンという「空想プロジェクトマネジメント読本」でも取り上げられているひとつのSFをネタにして、組織論的な観点から、科学特捜隊やウルトラマンを評価している。「ウルトラマン研究序説」の作者の一人である金井先生がゼミで言われていたが、この本は真剣に研究して書いた。それゆえに、一般のケースストーリーでは出てこないようなインプリケーションが得られた立派な研究だと評価できるとのこと。

「空想プロジェクトマネジメント読本」の中で取り上げられている中で、一番、プロジェクトマネジメント本向きなのは、「宇宙戦艦ヤマト」だろう。この本の中ではリスクマネジメントの説明に使われているが、今度はぜひ、沖田艦長、古代進、島大介などの活躍から、現実のプロジェクトでは得られないようなプロジェクト成功の知見を研究してほしい。

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2007年5月 7日 (月)

ゴーポイント

4757213751 マイケル・ユシーム(村井章子訳)「一瞬の判断」、アスペクト(2007)

お奨め度:★★★★1/2

あらゆる意思決定は最後はゴーポイント(一瞬の判断)に行き着く。ゴーポイントとは

情報収集が完了し、計画の是非が論じつくされ、はっきりと態度を決めなくてはならない瞬間

である。ゴーポイントにおいては、今、すぐに何をするかという判断を迫られることが多い。先送りは許されない。この本は、ゴーポイントにおいて、勘やひらめきに頼ることなく、決断を行うための方法を述べた本である。この本で述べられている決断の公式は以下の9つである。

1.決断を恐れる気持ちを克服する
2.強い信念を持つ
3.振り返らない
4.冷静に準備する
5.困難な決断から逃げない
6.重大な責任を引き受ける準備をする
7.小さな決断を積み重ねる
8.状況を見極める
9.心の奥底の決意を知る

9つの決断もなるほどと思わせるものだが、本としては、この9つの決断の公式を説明するために使っている事例が面白いので、読み物としても面白い一冊になっている。

日本のマネジャーはゴーイングポイントまで持っていくことは得意だが、肝心の決断ができない。9つの公式、それぞれについてできていないことがあるように思うが、その中でも決断できる人の行動をみていると、特に7.をうまくやっている。

自分の行動を振り返りながら、読んでみよう!

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2007年5月 4日 (金)

マネジメントツールキット

4833418533_2 金健治「「管理職」のための七つの道具術―図表やチャート、シートを満載」、プレジデント社(2007)

お奨め度:★★★★

比較的オーソドックスなマネジメントの体系を全体をツール(フォーマット)やプロセスにして提供している本。自分のマネジメントスタイルを紹介した本というのは結構多いが、この本のように体系的なものはあまりなく、いままでありそうでなかった本だといえる。

扱っているテーマは

・役割を明確にする

・人を育てる

・部下を評価する

・コミュニケーションする

・職場を束ねる

・目標実現

・問題解決

の7つで、ほぼ、マネジャーの仕事の範囲をカバーしている。

この本の価値は一般性にあるように思うが、逆にこのままでは使えない(使う場面で一工夫必要である)というジレンマがある。ある意味で標準化アプローチなのでこの本が云々というよりも本質的な問題である。

僕としては、このような試みをしたことを評価したい!

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2007年5月 2日 (水)

プロジェクトを成功させるリーダーシップ

4062134543 ジョン・サルカ、バレット・ネヴィル(道幸武久監修、甲斐理恵子訳)「人を動かす 火事場の鉄則」、講談社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

2004年に9・11テロの際にニューヨーク消防局のリーダーであったジョン・サルカが1冊の本を出して話題になった。日本でも、ビジネス誌で紹介されているのを見たことがある。

1591840252 John Salka、Barret Neville「First In, Last Out: Leadership Lessons from the New York Fire Department」、Portfolio(2004)

という本である。文字通り、最初に飛び込んで最後まで残るという行動規範(プロデュースした道幸氏の言葉では率先垂範)に基づくリーダーシップについて述べた本だ。

この本、読みたかったのだが、思わぬ形で翻訳が出た。翻訳というのは正しくないかもしれない。今、話題の新進気鋭のビジネスプロデューサ 道幸 武久氏が、単なる翻訳としてではなく、自らとのコラボレーション本としてプロデュースしたのだ。

消防士のように極限で、迅速な判断を要求される業務では、一人ひとりがリーダーシップを持たなくてはならない。リーダーや、マネジャーだけがリーダーシップを持っていても、全体は回っていかない。ジョン・サルカ氏のリーダーシップ論は、そのようなリーダーシップ論であり、そのような伝統的なリーダーシップがニューヨーク消防局にはあったので、多くの人を死なさずに助けることができた。

このようなリーダーシップこそ、プロジェクトを成功させるリーダーシップである。

このリーダーシップ論に共感する道幸 武久氏も、負けずと持論を展開し、全体として非常によくまとまった本になっている。この本の構成はオリジナルの本に章単位で道幸氏の章が混じっているような構成になっている。実は、最初、余計なものが入っている(失礼!)と思って、オリジナルの部分だけを選って読んだ。そのあとで、全部を通して読んだが、全部読んだ方がよい本だということがわかった。道幸氏の企画力はさすがである。

この本はいわゆるリーダーに読んで欲しい本なのだが、それ以上に、メンバーの立場で仕事をしている人と、管理職の立場で仕事をしている人にぜひ、読んで欲しい一冊である。

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