ミッション
鳥谷 陽一「ミッション―新しい職場。燃える仕事。あの人を超えたい」、プレジデント社(2006)
お奨め度:★★★
大手飲料メーカに勤務する主人公・木村卓が離婚した父親の起こした小さな食品チェーンオリモフードに入社し、成長していくさまを描いたビジネス小説。
オリモフードは銀行からの追加融資に支障をきたすほど、経営状況が好ましくなかった。そこで、外資系のコンサルティングファームに立て直し策のコンサルティングを依頼する。そして、その担当コンサルタント・中井を自社にヘッドハンティングする。その担当者がつけた条件とは、社長の実子を招きいれることだった。
実子は、何とか、入社させることができたが、その後は、苦難の連続。まず、何よりも、木村に当事者としての危機意識がない。木村を変えることから始めなくてはならない。自らがロールモデルとなり、木村を成長させていく。
また、古株の社員は合理性を重んじるやり方に批判的である。あるいは、能力とポストにアンマッチが見られる。これらを合理的にして、かつ、機微を折り込んで処理していく。
このように企業変革を進めていく中で、木村が成長し、組織の新しい形も見えてきて、木村に経営を継承するところまでたどり着くという話だ。
著者はコンサルタントだが、コンサルタント臭い小説ではない。ストーリーがこなれているというのもあるが、非常に多くの視点を含んでいるからだと思われる。
・後継者問題
・中小企業と戦略経営
・中小企業から脱皮するための人材マネジメントと古株社員の扱い
・意識革命と組織学習
・ビジョンとミッション
・キャリアの問題
など非常に多く、これらの対してさらっとしているが、著者の明確な主張が見られるよい本である。
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