会社を誰のものにするかの
ロナルド・ドーア「誰のための会社にするか」、岩波新書(2006)
お奨め度:★★★★
ライブドアのニッポン放送の買収騒ぎ以来、コーポレートガバナンスの本が目立つが、いずれも、「会社は誰のためのものか」という問題に答えを出そうとしている。
しかし、この本は、それは国の文化や歴史、価値観によって変わるものであり、むしろ、そのような視点でそれを決めていくかが大切であることを広い視点から述べている。
著者のロナルド・ドーア氏はバーバードやMITで教鞭をとった研究者であるが、日本に非常に詳しく、戦後の日本のコーポレートガバナンスの事件を引き合いに出しながら、米国との比較で、日本的なコーポレートガバナンスのシステムの特徴を示している。
最後に著者なりに、そのような視点から考えたときに日本のコーポレートガバナンスシステムのあり方を提案している。
会社が誰のものかという問題以上に、コーポレートガバナンスというのは何かということを明確にしてくれるので、マネジメントに関わるものはぜひ読んでおきたい一冊だ。
第1章 コーポレート・ガバナンス―「治」の時、「乱」の時
第2章 グローバル・スタンダードと企業統治の社会的インフラ
第3章 どこに改革の必要があったのか
第4章 組織の変革
第5章 株主パワー
第6章 株主天下の老後問題
第7章 ステークホルダー・パワー
第8章 考え直す機運
第9章 ステークホルダー企業の可能性
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