言行一致の組織を作る
ジェフリー・フェファー、ロバート・サットン(長谷川喜一郎、菅田 絢子訳)「実行力不全 なぜ知識を行動に活かせないのか」、ランダムハウス講談社(2005)
お奨め度:★★★★1/2
5年ほど前に一冊の本が出た。非常に目立つ表紙で、タイトルは「変われる会社、変われない会社」。表紙の背景には、大きく
とある。流通科学大学の出版ででたが、話題になることもなく、絶版された。この本、米国ではベストセラーになった本である。内容は、このタイトルからぼんやりとわかるだろう。
知っていることと、実行することのギャップ
当時は、日本では、戦略病の発病期だった。あるところで、この本を使って、マネジャー研修を提案したところ、そんなのはうちには必要ありませんと言われたことがある。
日本ではなかなか、この問題意識が芽生えてこない。例えば、仕組みと実行。言うけど、やらないとトップマネジャーが嘆いている企業をたくさん知っている。しかし、そこは個人の問題で片付けられ、組織としての問題に切り込まれることはない。
この後、もう一冊、同じ問題で、米国でベストセラーになった本の翻訳が出版された。ラリー・ボシディとラム・チャランの 「経営は「実行」―明日から結果を出す鉄則」である。戦略やビジョンを実行するためのアイディアやノウハウを書いた本であるが、この本もあまり売れなかったらしい。
そして、今年、ジェフリー・フェファー、ロバート・サットンと同じ問題意識をうたった1冊の本が出版された。
ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャールの書いた「意志力革命」である。
これに影響をうけたわけではあるまいが、ジェフリー・フェファー、ロバート・サットンの本が復刊された。これが、冒頭に掲げた「実行力不全」である。なかなか、インパクトのあるタイトルだ。
この本も意志力革命と同じく、綿密な企業調査の上で書かれている。その期間は4年間にも及ぶそうだ。行動ができない組織で、何ゆえに行動できないかを分析し、さらには、ギャップを乗り越えた企業では、どのようにして、あるいは、どのようなメカニズムでギャップを乗り越えたかを解説している。
上の3冊は、すべて、トップマネジャー、ミドルマネジャー必読の一冊。
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目次
原著まえがき
謝 辞
第1章 知識は実行してこそ価値がある
第2章 言葉を行動と錯覚してはいないか?
第3章 前例が思考を妨げる
第4章 恐怖心が行動をはばむ
第5章 評価方法が判断力を狂わせる
第6章 内部競争が敵をつくる
第7章 知識と行動のギャップを乗り越えた企業
第8章 知識を行動に変えよう
付 録 知識と行動の調査
原 注
監訳者あとがき
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