IT分野のPMBOK3版解説本
PMBOK第3版の日本語版が出版されて1年足らずだが、第3版対応のPMBOK解説書が目立ってきた。さすがに、内容はともかく、PMBOK解説という雰囲気の本はなくなり、応用について多少なりとも、言及されるようになってきた。
応用分野は、圧倒的にITが多い。何冊か、取り上げてみよう。
佐藤義男「PMBOKによるITプロジェクトマネジメント実践法―PMBOKガイド第3版対応」、ソフトリサーチセンター(2005)
まずは、定番本。JPMF(PMAJ)の副会長の佐藤義男さんの書かれた本。この本については、改めて触れるまでもないが、PMBOKのITへの適用という点ではもっとも実用的である。
本の出来た背景に、JPMFの研究会での1年に渡る議論があったということなので、納得できる。この後、PMBOKのIT応用の本は何冊も出ているが、その地位は揺るがない。
僕も自習書でよく使って貰っているが、もう少し、詳しく書いてほしいという要望をよく聞く。この辺は、ビジネス的な配慮があるようである。実際のところ、この本の4章以降を読むには、相当なITのスキルが必要である。アマゾンなどで、この本の酷評を見かけるが、一つは詳細度の問題があるが、もう一つは、ITのスキルの低い人には価値のわかりにくい本だという面があると思われる。
広兼修「プロジェクトマネジメント標準PMBOK入門」、オーム社(2005)
最近出版されたITプロジェクトマネジメントの本の中では、最もよい本ではないかと思う。非常によくまとまっており、ITのスキルレベルが低い人でも読めるような内容になっているし、もちろん、ITのスキルが高い人が呼んでもPMBOKに関するいろいろな知識習得ができる。佐藤さんの本がPMBOKの概要+ITへの応用という構成なのに対して、全体をITにフォーカスした解説にしてあるので、その分、少なくともIT分野の人にはPMBOKのイメージがわきやすい。
ぜひ、IT以外の分野の方で、PMBOKに興味がある人も手にとってみてほしい。
久手堅憲之「ITエンジニアのための PMBOK 2004 がわかる本」、翔泳社(2005)
日本でもやっとこの手の本が出たかと思う、PMBOKのダイジェスト本。もちろん、今までも佐藤さんの本を初めとして、PMBOKの解説をしている本は多いが、重要だと思う部分だけを紹介するという趣のものが多かった。もちろん、それはそれで重要なのだが、PMBOKガイドがだんだん重くなる中で、情報を探しにくくなってきたし、何よりも持ち歩くのが大変(笑)になってきていたので、こんな本があればと思っていた本。
非常にフェアにダイジェスト化されている。著者はPMI翻訳監修委員会のコアメンバーの一人だったとのことで、PMBOKに対する高い見識が伺われる。
1冊手元にあると便利だが、ただし、高い!!
この本で3千円(正確には2940円)はないだろうという感じ。佐藤さんの本が2100円、広兼さんの本が2310円。この本で3千円出すなら、PMBOKガイドを買うわって感じなので、あくまでも、サブガイドみたいな位置づけどまり。PMBOKなので高くなる理由はわかるが、出版社(翔泳社)にはもう少し、頑張ってほしいなあ。。。
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