文化をエンジニアリングする
ギデオン・クンダ(金井壽宏監訳、樫村志保訳)「洗脳するマネジメント~企業文化を操作せよ」、日経BP社(2005)
お奨め度:★★★★★
ハイテク企業のエスノグラフィーとして、クスノマ教授の「マイクロソフトシークレット」と並ぶ名作 " Engineering Culture Control and Commitment in a
high Tech Corporation"の翻訳。こちらは対象企業はDEC。
マイクロソフトシークレットが開発プロセスに注目しているのに対して、こちらは組織、特に、組織文化に注目している。
ギデオン・クンダのつけたタイトル Engineering Culture には2つの意味があるそうである。一つは文字通りに、エンジニアリングに適した組織文化という意味であり、もうひとつはカルチャーをエンジニアリングするという意味。
邦訳にこのようなタイトルをつけた経緯については、監訳者である金井先生が巻末に相当な分量の解説を書かれているが、その中で触れられている。
このエスノグラフィーを読むと、プロジェクトと組織の関係も含めたプロジェクトマネジメントにおいて、組織文化がどのような役割を果たしているか、そして、それをどのように構築していくかが手にとるように分かる。
これから組織の成熟度向上に取り組んでいこうという人にはお奨め。プロジェクトマネージャーの方には、むしろ、マイクロソフトシークレットの方をお奨めする。
目次
第1章 文化と組織
第2章 環境
第3章 イデオロギー―目に見えるテック文化の教典
第4章 呈示儀礼―イデオロギーを語る
第5章 自己と組織―「黄金の雄牛」の陰で
第6章 結論
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