日本のプロジェクトマネジメントオフィス
仲村薫編著「PMO構築事例・実践法―プロジェクト・マネジメント・オフィス」、ソフトリサーチセンター(2007)
お奨め度:★★★★
日本では初のプロジェクトマネジメントオフィスに関する実践的な解説書。
アルテミスの仲村薫さんの編著で、仲村さんがまず、PMOの基本事項の解説をし、事例を各事例企業の人が書くというスタイルをとっている。取り上げられている事例は
・オムロン パスネットプロジェクト
・日立製作所 情報通信グループ
・三菱電機インフォメーションシステムズ
・NEC
・A社(失敗事例)
・自動車メーカ(マルチプロジェクトマネジメント)
・医薬品企業(開発管理)
・日本IBM研究開発部門
である。
次に、PMOの重点活動ということで
・プロジェクトマネジャーの育成
・ポートフォリオマネジメント
の2項目について、詳細な解説を事例を交えて行っている。解説はわかりやすく、また、事例が入っているので明確なイメージができる。
やっと日本人の書いたPMOの本が出てきた。それも、日本らしく、事例という形。
これまで、訳本では、仲村さんの翻訳された
トーマス・ブロック、デビッドソン・フレーム(仲村 薫訳)「プロジェクトマネジメントオフィス―すべてのプロジェクトを成功に導く司令塔プロジェクトオフィスの機能と役割」、生産性出版(2002)
や、PMI東京の永谷事務局長がプロジェクトマネジャーを勤める翻訳チームが翻訳した
ジョリオン・ハローズ(PMI東京訳)「プロジェクトマネジメント・オフィス・ツールキット」、テクノ(2005)
などの良書があったが、やはり、日本の組織に米国のPMOの流儀をそのまま持ち込むことは難しい。
その意味で、この仲村さんのまとめられた本は特別な意味があるのではないかと思う。
半年くらい前に、米国で出版事業をやっている知人から、プロジェクトマネジメントに関する出版点数に対してPMOの本がないのはどういうことだと聞かれたことがある。異様に感じるといっていた。ちなみに、米国ではプロジェクトマネジメントの本が500冊、PMOの本が50冊程度出版されており、このくらいの割合が普通ではないかといっていた。
これを契機に、日本でもPMOの本がどんどん、出てくることが望まれる。
目次
序章 戦略を実行するPMO(EPM(エンタープライズプロジェクトマネジメント)
プログラムマネジメント
ビジョンを達成するプロジェクト
チェンジマネジメント
プロジェクトマネジメント成熟度)
第1章 PMOの機能と役割(PMOの概要)
第2章 PMOの重点活動(プロジェクトマネジャー育成、ポートフォリオマネジメント)
どうもPM関連の本は読みにくい印象があります
日本人によるものがたくさん出てきて表現も練れて、読みやすくなってくれば、と思います
投稿: 倉田 昭義 | 2007年12月 2日 (日) 10:04