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2006年12月 4日 (月)

待望のプロダクトマネジメントハンドブック

4798111929_01__aa240_sclzzzzzzz_v3663775 Linda Gorchels(新井宏征訳)「プロダクトマネジャーの教科書」、翔泳社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

欧米では定番のプロダクトマネジメント本の一冊。プロダクトマネジメントの仕事を「プロダクトマネジャーのハンドブック」という切り口で整理している。

プロダクトマネジメントは、日本ではあまり、なじみのない概念であるが、製品カテゴリーの展開に責任を持ち、また、同時に個別の製品開発プロジェクトにプロジェクトスポンサーとして関わるマネジャーである。製品カテゴリーをプログラムだと捉えれば、プログラムマネジャーである。

この範囲で必要な知識は極めて膨大である。この本はそれを網羅しているので、さしむき、「ポーフォリオ」的な意味合いの強い一冊である。

第1部は戦略計画について述べている。第1章の戦略立案フレームワークから始まり、市場調査、競合分析、ブランド戦略、コスト戦略などについて書かれている。第2部は製品計画と戦略実行で、戦略的成長、新製品開発プロジェクト、市場投入戦略、製品管理、顧客管理について書かれている(詳細は目次参照)

第3部は多少趣が変わり、プロダクトマネジャーのリーダーシップについて書かれている。

本の構成として、すべての項目について簡単なチェックリストでプロダクトマネジャーとしての仕事がチェックできるようなつくりになっている。また、章末に14人のプロダクトマネジャーへのインタビューが採録されている。このインタビューを読むことによって、スキルポートフォリオのイメージが明確になるだろう。その意味でとても重要な要素になっている。いずれにしてもハンドブックとしてはよくできているし、プロダクトマネジメントが何かを知らない人が読んでイメージを作る、あるいは、プロダクトマネジメントの実務に関わっている人が自分の行っている仕事を体系的に整理するにはもってこいの一冊である。

一方で、あくまでもハンドブックであるので、この本1冊でプロダクトマネジメントに必要な知識のすべてが身につくと考えるのは早計。この本に書かれている活動をしようと思えば、多くのスキルを必要とする。戦略理論、マーケティング、プロジェクトマネジメント、ブランドマネジメントなどだ。ちょうどプロジェクトマネジメントのPMBOKのようなイメージで読むのがよいだろう。

実際にこの本の書かれているような仕事のやり方を手っ取り早く身に付けたいという方には、同じ著者の

0071410597_01__bo2204203200_pisitbdp500aThe Product Manager's Field Guide: Practical Tools, Exercises, and Resources for Improved Product Management

がお奨めだ。ただし、英語。この本も翻訳してほしいなあ~。

目次

Part 1 戦略的な基礎を築く

第1章 プロダクトマネジャーのための戦略的計画立案フレームワーク
1.1 重量級プロダクトマネジャー
1.2 計画立案のフレームワーク
1.3 戦略的な製品ビジョン
チェックリスト
インタビュー:ポール・バウムガード

第2章 トレンド観測、調査、顧客セグメンテーション
2.1 トレンド調査と顧客調査
2.2 顧客セグメンテーションの準備に関する質問
2.3 市場分析プロセスと顧客分析プロセス
チェックリスト
インタビュー:アート・ウェインステイン

第3章 競争戦略のための競合分析
3.1 競合分析
3.2 競合分析プロセスの確率
3.3 競合の情報を分析する
チェックリスト
インタビュー:ティモシー・J・キンドラー

第4章 ブランド戦略
4.1 ブランドの基礎
4.2 ブランド戦略の構築
4.3 ブランド要素とブランドプログラム
チェックリスト
インタビュー:スコット・デイビス

第5章 財務と価格のパフォーマンス
5.1 基本的な会計の考え方
5.2 価格設定方針と業績改善
チェックリスト
インタビュー:エリック・ミッチェル

Part 2 製品計画と実行

第6章 新製品を利用した戦略的成長
6.1 戦略的な新製品検討
6.2 新製品開発の基礎
6.3 製品アイデアの開発
チェックリスト
インタビュー:グレッグ・ディチロ

第7章 新製品プロジェクト
7.1 ビジネスケース
7.2 プロトタイプ開発
チェックリスト
インタビュー:スティーブン・ヘインズ

第8章 市場投入戦略の策定
8.1 市場投入準備
8.2 市場投入
8.3 市場投入後の評価
チェックリスト
インタビュー:スティーブ・ジョンソン

第9章 既存製品の管理
9.1 製品をポートフォリオに組み込む
9.2 既存製品のデータベースの作成(製品ファクトブック)
9.3 維持戦略
9.4 活性化戦略
9.5 合理化戦略
チェックリス
インタビュー:ボブ・ブレンティン

第10章 マーケティング計画を利用した顧客需要の創造と管理
10.1 今どこにいるのか
10.2 今年中に何をやるか
10.3 マーケティング実行計画
10.4 マーケティング計画の作成
チェックリスト
インタビュー:H・ポール・ルート

Part 3 これからのリーダーシップの課題

第11章 機能別リーダーとしての地位を得る
11.1 役割の紹介
11.2 日々の業務と研究開発
11.3 ライト、カメラ、アクション!
チェックリスト
インタビュー:ジェフ・ミクラ

第12章 グローバリゼーションに備える
12.1 多国籍企業の製品戦略
12.2 グローカリゼーション
12.3 他国への流通
チェックリスト
インタビュー:マーク・フィリップス

第13章 プロダクトマネジメントの実情
13.1 現在のプロダクトマネジメント
13.2 プロダクトマネジャーの仕事
13.3 これからのプロダクトマネジメント
13.4 まとめ
チェックリスト
インタビュー:トレイシー・カールソン

第14章 プロダクトマネジメントの導入とプロダクトマネジャーの管理
14.1 プロダクトマネジメントの必要性と組織構造を見極める
14.2 企業内で職務の責任を明確にする
チェックリスト
インタビュー:テレス・パディリャ

付録 A 3MのScotchCartIIカートリッジ
A.1 セールスサポート
A.2 柔軟な価格ポリシー
A.3 トレードショー
A.4 印刷広告
A.5 結論

付録 B 職務内容説明書のサンプル
B.1 バイオテクノロジー企業の職務内容説明書
B.2 バイオテクノロジー企業の職務内容説明書
B.3 消費者向けメーカーの職務内容説明書
B.4 業界向け資本設備メーカーの職務内容説明書
B.5 通信業界メーカーの職務内容説明書
B.6 中規模企業の職務内容説明書

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