熊とワルツを~リスクを愉しむプロジェクト管理
トム・デマルコ (著), ティモシー・リスター (著), 伊豆原 弓:「熊とワルツを~リスクを愉しむプロジェクト管理」、日経BP社(2004)
お奨め度:★★★★1/2
話題には事欠かない本ですが、出版元である日経BP社のニュースに面白いエピソードが載っていました。この本は、ずっと「Risk management」という仮タイトルで進んできて、最後に「Walting with Bears」というタイトルになったそうです。
出版そのものも、このタイトルのとおり、熊とワルツを踊るようなリスクをとっているという解説がされていました。
好川の個人的な感想として、デマルコほどのビッグネームの新著ですので、このようなタイトルをつけることは、ローリスクハイリターンの戦略だと思うのですが、まあ、日本の出版社の感覚でいえば、信じられないことなのでしょうね。それはよく分かります。
なぜ、こんなにしつこくタイトル論議をしているかといいますと、この本は内容をとやかくいうより、タイトルにすべてが集約されていると思ったからです。熊に追いかけられているのではないのです。「熊とワルツを」踊るのです。これこそ、この本でデマルコが言いたいことのすべてです。
PMBOKのリスクマネジメントを丁寧に読むと、実に、体系的なまとめ方がされています。それでいくと、「熊とワルツを」というのは積極的な受容戦略なのですが、この本は単にそのことを言っているだけではありません。
デマルコの今までの本もそうですが、彼の大家たるゆえんは、どうすればプロジェクトが成功するかの一点に絞り、理論的、行動、心理などのあらゆる要因を統合的に論じている点です。この本も例外ではありません。リスクという観点から、プロジェクトの成功法則が書かれています。リスクを楽しめることこそが、プロジェクトの成功法則になるといっており、それは、リスク戦略の妥当性を超えた議論だといえるでしょう。
とにかく、読んでみてください!
ちなみにこの本を読まれるのであれば、
を一緒に読まれることを強くおすすめしたいと思います。思想的な背景を理解しておいた方が、得られるものが10倍、100倍大きいと思うからです。
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好川さんのMLリストでのPMに対する指摘同様、デマルコの本も今までの考え方の落とし穴に気付かせてくれます。この本においてもリスクの考えかたを再認識するとともに、気付かされる点が多かったです。この本を読むと、リスクの数量化とステークホルダーとのシェアの大切さを教えられるともに、組織(管理者)としての報告されたリスクをどう認識すべきか考えさせられます。
自分のブログでも考察してみました。
投稿: タイガー | 2005年1月28日 (金) 01:11