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コンセプチュアルスタイル考 Feed

2015年9月 8日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第15話:コンセプトを作る

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Concept前回までで5つの軸の説明が終わりましたので、コンセプチュアル思考を使ってどういう行動をしていくのか、もう少し、踏み込んだ議論をしていきたいと思います。

第1回は「コンセプトを作る」ことです。


◆コンセプトとは

コンセプトは日本語で概念と訳されるように、ある意味で、コンセプチュアルスキルの基本だとも言えます。ただし英語でいうConceptと日本語でいうコンセプトは微妙に違いますので、このあたりところから考えてみましょう。

コンセプチュアルスキルは本質を見極めることが中心にありますが、本質というのは多くの場合、コンセプトとして表現されます。その意味でコンセプトはコンセプチュアルスキルの中心にある「概念」です。コンセプトという「概念」は分かりにくいのですが、一言でいえば、自分がしたいことの本質を表現したものだといえます。

もう少し難しくいえば、何らかのビジョン・戦略があってそのビジョンを実行するためにすべきことがコンセプトだと言えます。さらにそのコンセプトが実現されたかどうかの目安として目標を立てるわけです。

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2015年7月14日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第14話:5つの軸について考える(5)~現在と未来を統合する

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◆5つ目の軸

コンセプチュアル思考の最後の軸は長期と短期です。

この軸も概念側にある長期は悪いことだとは考えられず、長期的な思考が求められます。たとえば問題が発生したときに、目先の問題を解決すると同時に長期的にも問題を解消することが求められることがよくあります。

問題解決では、当面策と根本策という言葉をよく使いますが、当面策は問題回避のニュアンスが強く、根本策が本来の意味での問題解決になります。



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【コンセプチュアルスタイル考】第13話:5つの軸について考える(4)~森も木も見る

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◆大局と分析

抽象と具象、直観と論理、主観と客観に続く4番目は大局と分析です。前回も述べましたが、これまでの3つではコンセプチュアルであること(概念側にあること)、すなわち、抽象的、直観的、主観的はあまりよいこととされません。しかし、大局はよいこととされます。これは興味深いことです。

コンセプチュアルスキルはカッツ教授の指摘しているように、職位の高いマネジャーになればなるほど重要になります。その理由は、抽象/具象とともに、この軸にあります。職位が高くなればなるほど、大局的にぱっと全体を把握するスキルは極めて重要なスキルになるからです。

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2015年5月10日 (日)

【コンセプチュアルスタイル考】第12話:5つの軸について考える(3)~主観なくしてダイバーシティなし

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◆主観と客観

抽象と具象、直観と論理に続く3番目の軸は主観と客観です。

一般的にビジネスや仕事の中に主観を持ち込むことはよいことだとされません。この是非については後で議論しますが、その前に客観的であるとはどういうことか考えてみましょう。

辞書(大辞泉)を引くと

1 主観または主体を離れて独立に存在するさま
2 特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま

とあります。客観的の逆は主観的ですが、主観的であるとは

1 表象・判断が、個々の人間や、人間間の心理的性質に依存しているさま
2 自分ひとりのものの見方・感じ方によっているさま

とあります。つまり、客観的であるというのは自分の立場にとらわれないで、物事を見たり、考えたりするということです。逆に主観的に考えるというのは自分の立場から物事を見たり考えたりするということになります。

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2015年4月10日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第11話:5つの軸について考える(2)~洞察は直観から生まれる

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◆直観と直感

コンセプチュアルスキルを構成する5つの軸に関する考察の第2弾は直観と論理という軸です。本論に入る前に言葉の整理をしておきたいと思います。辞書を引くと、「ちょっかん」という漢字には「直感」と「直観」の2つがあります。

両方に共通しているのは、推論や考察をせずに、対象を捉える(認識すること)でありますが、直感という場合には、感覚的に感じ取るようなニュアンスがあります。これに対して、直観という場合には、経験(知識)に基づいて対象を捉えることで、哲学的な概念です。

もう一つ違いを上げると、直感というのは本能ですが、直観というのは本能ではないところが違いだと言えます。

5軸の一つとして使っているのは、直観ですが、これはビジネスやマネジメントにおいては、経験に基づき勘が働くということはよくありますが、本当に感性だけで判断していることは少ないと考えているからです。

その理由ですが、ビジネスの判断はトップマネジメントであっても最終的に他者を納得させるだけの合理性が必要になります。感性だけで判断しても分かる人には分かるということでこの合理性は生まれません。



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2015年2月17日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第10話:5つの軸について考える~抽象的であることは悪いのか?

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◆はじめに

久しぶりのです。

前回までに説明しましたように、PMstyleのコンセプチュアルスキルはコンセプチュアル・シンキングと呼んでいる5つの軸を使った思考が中心になっています。この5つについて、いろいろな視点から考察してみたいと思います。

第1弾はコンセプチュアルスキルの中核になっている抽象と具象です。

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2014年8月 8日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第9話:アナロジーで応用力を発揮する

◆応用力とは何か

Analogy

コンセプチュアルスキルにもっとも期待されるのは応用力です。応用力にも前回説明した5つの思考軸が重要な役割を果たします。

応用力とは何でしょうか。デジタル大辞泉によると

すでに得た知識を使って、新たな事柄に対応する力。与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する力。

とあります。知識をどのように獲得するかということを考えてみると、ここに知識だけではなく経験を付け加えてもよいように思います。つまり、

すでに得た知識を使って、新たな事柄に対応する力。与えられた材料や経験から必要な情報を引き出し、活用する力。

が応用力だといえるでしょう。以下ではこの定義を中心に応用力について考えていきますが、まず、問題になるのは経験と知識の関係です。野中先生の知識獲得モデルによると、人は経験によって暗黙知を得ます。そして、それを形式化することで知識にしていきます。これが基本的な関係だと考えることにします。



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2014年7月22日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第8話:コンセプチュアルスキルを分解する~~本質を見極めるための5つの思考軸

◆コンセプチュアルスキルの構造

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前回、抽象と具象をはじめとする、概念の世界と形象の世界を行き来することがコンセプチュアルスキルだという説明をしました。今回はもう少し、体系的な話をしてみたいと思います。

まず、PMstyleでは全体の体系として、

業務>基本行動>コンセプチュアルシンキング

という体系を考えています。たとえば、マネジャーであれば

マネジメント業務>マネジメント行動>コンセプチュアルシンキング

という構造になります。

マネジメント業務は、たとえば、戦略策定、目標設定・目標達成計画、人材育成、労務管理、他部署折衝といったものです。

これらの業務を行うためのマネジメント行動は、構想、計画、問題解決、意思決定、対人影響といったものです。ここで注意しておいてほしいことはこのようなマネジメント行動はコンセプチュアルな行動もあれば、そうでない行動もあります。

その違いを生み出すのがコンセプチュアルな思考力です。コンセプチュアルシンキングは、前回説明しましたように抽象/具象に加えて、主観/客観、直観/論理、大局/分析、長期/短期などの行き来です。

このようなコンセプチュアルシンキングが身につくことによってマネジメント行動はコンセプチュアルになります。つまり、

構想 → 創造的になる、想いが反映される
計画 → 実行しやすくなる、生産性が高くなる
問題解決 → 創造的になる、
意思決定 → 速くなる、適切になる
対人行動 → 共感を得る

と変わっていきます。そして、マネジメント行動の変化が、マネジメント業務をよい方向に変えていきます。

つまり、コンセプチュアルスキルを厳密にいうと、コンセプチュアルシンキングとコンセプチュアルシンキングに裏付けられたマネジメント行動を指しています。



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2014年7月16日 (水)

【コンセプチュアルスタイル考】第7話:コンセプチュアルスキルに対する本質的な誤解

◆はじめに

Skyconcept_09ヶ月ぶりのになります。

この間、コンセプチュアルスキル関係の取り組みにいろいろな進展がありました。中でも特筆すべきはそろそろ、スキームとして固まってきたので、スキル診断プログラムを作ったことです。

この診断プログラムはすでに紹介していますので、実施してみて戴いた方もいらっしゃるかと思いますが、結果を軸と行動で示すようになっています。

まだの方はぜひ、やってみてください。こちらからできます。

コンセプチュアルスキル診断

診断が終わると以下のように5つの軸による評価と行動に対する評価が10点満点で出てきます。こんな感じです。

軸による評価        点数(10点満点)
抽象的/具象的 のバランス 6
主観的/客観的 のバランス 6
直感的/論理的 のバランス 6
大局的/分析的 のバランス 6
長期的/短期的 のバランス 6

行動に対する評価      点数(10点満点)
構想            6
計画            6
問題解決          6
意思決定          6
対人            6

行動の方はこれまでのスキル考の中でどういうことか説明してきましたのでだいたい分かると思いますが、軸の方は少し説明が必要だと思います。それでを書くことにしました。

その説明を書き出してこれまでの活動を通じてその前に書いておきたいと思ったことがあって、今回はそちらを書くことにしました。それは、そもそも、コンセプチュアルスキルという概念が誤解されているのではないかということです。



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2013年9月22日 (日)

【コンセプチュアルスタイル考】第6話:標準とコンセプチュアルスキル

Rule◆標準の歴史

標準という概念を説明するのは難しいものがあります。そもそも、20字ちょっと書いたところで、概念なのかという疑問を持たれた方もあるのでしょう。公私のいずれでも非常に身近な存在でありながら、どんなものかは人によって違うというのが標準です。

なんで突然、標準を取り上げたかというと、10年くらい前に出た本が、文庫本で出たので読み直したところ、ずいぶん、面白いと感じたからです。

橋本 毅彦「「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》 (講談社学術文庫)」、講談社(2013)

この本によると、標準のはじまりは、1700年代の終盤に、フランスのオノレ・ブランという技術者が互換性部品という概念で銃を開発しようとしたのが始まりだそうです。互換性部品というのは、銃を再構成が可能な50個の部品から構成する。そして、もう一つ完璧に同じ部品からなる銃を作れば、それぞれの銃は部品を取り換えても機能するというものです。今では当たり前ですが、これは画期的な発想だったわけです。これで銃の修理が便利になるからです。

その後、軍事戦略が変わり、軍事要求が変わります。そして、その要求に対応していったのが、ジャン・バティスト・ヴァケット・ド・グリボーヴァルという軍事技術者でした。グリボーヴァルは標準規格化した兵器体系の一環として、武器の製造方法や、部品の製造方法を標準化しました。そして、これが製造コストを下げるのに役立つのではないかと考えるようになり、工員の教育なども含めて推進していきました。

このような試みは地方の職人の反乱にあい、結局、失敗するのですが、これを米国に持ち帰ったのが、米国のフランス大使だった、トマス・ジェファーソンでした。

米国の技術者たちは、フランスで生まれた技術を育て、コルト拳銃を生み出します。そして、工作技術の進歩は、加工される製品の標準だけでなく、工作作業自体の標準化を促します。どのような切削工具によって、加工品をどのようなスピード、力、深さで切削するか。この問題に挑んだのが標準化の元祖のように思われているフレデリック・テーラーです。テーラーの仕事は標準に「経済性」という画期的な性質を与えることになります。

ここから、標準化は経済性のために行われるようになったのです。



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